研究課題/領域番号 |
23370015
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
寺島 一郎 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (40211388)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | システミック / 植物ホルモン / 地上部/地下部比 / 葉の厚さ / 相対成長速度 |
研究概要 |
これまでの研究から、植物個体レベルの葉/ 根比 (L/R)、葉の厚さ (LMA) や葉面積あたりのN 濃度 (Narea) などの物質分配パターンは、光環境に応じた葉のN 需要および土壌からのN 供給に応じて、相対成長速度 (RGR) を最大化させるように調節されていることが示唆された。また、数理モデルからは、環境変化や、葉や根の損傷に応じてL/R を最適に調節するには、葉面積あたりのC 同化速度とN 吸収速度の比を認識し、新葉の成長速度を制御することで実現可能なことが示された。 本年は材料としてイタドリを用いた。強・弱光、N 貧・富栄養条件下で栽培し、(1) GA、CK、GA 合成阻害剤を添加したときの形態的・生理的形質の変化の解析、(2) 内生植物ホルモンの定量的解析 ( 理研PSC と共同研究) を行った。実験 (1) からは、GA やCK によってL/R やLMA が大きく変化し、これらの形態的変化を通じてNarea やRGR が決定されることが分かった。実験 (2) の内生植物ホルモンの解析によって、光環境に関わらず葉面積あたりのGA と葉/ 根比が相関関係を持つことから、GA が個葉のサイズをローカルに制御し、システミックに葉の枚数を制御することで、最適なL/R が実現されている可能性が示唆された。 ハツカダイコンと葉ダイコンの接ぎ木を行い、胚軸の肥大の制御メカニズムへの、地上部/地下部のシステミックな情報伝達の関与を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
植物ホルモン関係の研究は大きく進展した。一方、糖シグナルに関する研究は、やや遅れている。担当している大学院生が修士に入学したてであったため、即戦力とはならなかったためである。年度後半にずいぶん力をつけて来たので、2013年度には十分な研究の進展が期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定通り、糖シグナル、レドックスシグナル、植物ホルモン、に注目した研究を3名の担当者で推進する。
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