研究課題/領域番号 |
23370016
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
小関 良宏 東京農工大学, 大学院・工学研究院, 教授 (50185592)
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研究分担者 |
佐々木 伸大 東京農工大学, 大学院・工学研究院, 助教 (80422088)
太田 大策 大阪府立大学, 大学院・生命環境科学研究科, 教授 (10305659)
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キーワード | アントシアニン / 配糖化酵素 / 液胞 / glycoside hydrolase family 1 / シネラリア / アガパンサス / アシル-グルコース |
研究概要 |
Acyl-glucose-dependent anthocyanin 5/7-O-glucosyltransferase(AA5/7GT)タンパク質の大腸菌における大量発現系を確立するために様々な条件検討を行なった。アミノ酸を置換しないように大腸菌のcodon usageに変えたAA5/7GT cDNAを合成し、これを大腸菌に導入したが、それでも大量発現できなかった。そこでピキア酵母での発現系を導入し、それに対応したコンストラクトを作成した。またシネラリア、アガパンサスの花弁からの粗タンパク質画分を調製し、アシル-グルコースを糖供与体としてアントシアニンの7位配糖化酵素活性を検出することに成功した。さらにアガパンサス花弁から抽出したmRNAを用いてRACE法によって7位配糖化酵素cDNAの全長をクローニングし、これを大腸菌で発現させ、7位配糖化酵素活性を有することを示した。この成果はアガパンサスという単子葉植物においてもAA7GTが存在していることを示したものであり、このAAGTは単子葉植物と双子葉植物が分かれて進化する前に、すでに存在していたことを示すものである。またアラビドプシスにおいて、今回見いだしたglycoside hydrolase family 1(GH1)の機能未知でAA5/7GTと同じクレードに属する機能未知の遺伝子が11個あることを明らかにし、各々についてT-DNA挿入がなされている変異体を手に入れて、これらのホモ化を進めた。そのうちの1つの変異体において、合成蓄積されているアントシアニン分子種プロファイルが野生型のそれと異なることを明らかにし、その遺伝子をクローニングし、その変異体に強制発現させるコンストラクトの導入を行い、その変異が相補されるかどうかを解析中である。またアラビドプシスのロゼッタ葉植物体を強光条件にすることでアントシアニン合成を誘導できる実験系を確立した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大腸菌によるacyl-glucose-dependent anthocyanin 5/7-O-glucosyltransferase(AA5/7GT)タンパク質の大量発現につき、様々な条件検討を行なったが少量しか発現させられず、酵素タンパク質の結晶化、さらにその構造解析が未達成である。しかし、一方で、単子葉植物であるアガパンサスからAA7GT cDNAの単離・同定に至ったことは、この酵素の進化過程を明らかにする上で重要な研究成果であり、その価値は大きい。
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今後の研究の推進方策 |
酵素タンパク質の大量発現系としてピキア酵母を用いることを行なう。さらにそれでも大量発境できない場合にはバキュロウイルス-昆虫細胞発現系を用いたタンパク質の大量発現系を用いる方針である。アラビドプシスについては、現在、11個のglycoside hydrolase family 1(GH1)遺伝子のうちの1つがアントシアニン修飾に関わることを見いだし、このノックアウト体のホモ化と一斉解析を優先させたが、その他の10遺伝子のノックアウト体についても、順次ホモ化を進め、得られたホモ個体について、各々の変異体における代謝プロファイル解析を行い、これらGH1遺伝子がどのような基質の配糖化反応に関わっているのかを明らかにすることを行なう。
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