研究課題/領域番号 |
23370021
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
町田 泰則 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 特任教授 (80175596)
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研究分担者 |
伊藤 正樹 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 准教授 (10242851)
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キーワード | 植物細胞質分裂 / キネシン / MAPキナーゼカスケード / 孔辺細胞 / 非対称分裂・分化 |
研究概要 |
研究は次の3つの側面から進めた (1)MCK-PQR経路の不活性化と活性化の仕組の研究 ・タバコとシロイヌナズナのCDKがNAcK1とNPK1を、in vitroでリン酸化した。次ぎに、リン酸化されたこれらのタンパク質の結合能をプルダウン・アッセイで検討したところ、リン酸化しないと結合したが、リン酸化蛋白質は結合しないことがわかった。さらに、特異抗体を用いた実験で、これらの蛋白質は、M期の中期以前には、CDKによりリン酸化されていることがわっかた。この時期には、それらは結合していなかった。しかし、中期の後には脱リン酸化されて、両分子は結合し、NPK1は活性化された。 (2)GIG1-APC経路のM期後期進行における抑制的調節機構の研究 ・gig1変異体をライブイメージングにより解析し、表皮細胞の非対称分裂において有糸分裂を正常に完了できないために染色体数が倍加する現象(エンドマイトーシス)が起きていることを示した。 ・GIG1遺伝子のパラログであるUVI4の変異を組み合わせるとgig1変異体に見られる細胞運命決定の異常が抑圧されることがわかった。 ・GIG1とUVI4がAPC/Cユビキチンリガーゼの新奇阻害タンパク質であることを示した。 (3)二つの経路の相互関係の研究(Formatlve cell ivision研究へ向けて) ・atnack1変異体とSCR:GFPやDR5:GUSなどのマーカーラインと掛け合わせた。これは、次の研究のために作製するatnackl gig1二重変異体での、細胞分化のパターンを検討するための材料となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上記したように、交付申請書で計画した内容を着実に進めた。従って、研究は、計画通りに進展している。
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今後の研究の推進方策 |
・リン酸化されたNACK1とNPK1が脱リン酸化されると、結合してNPK1の活性が上昇することがわかった。そこで、活性化のかぎとなる因子は、脱リン酸化酵素であると推察された。現在それを探索している。 ・gig1変異体に見られる細胞運命決定の異常は、gig1 uvi4二重変異体では見られなくなることから、APC/C活性を適切に制御することが表皮細胞の細胞運命決定に重要であると考えられる。細胞運命決定に関わるAPC/C標的タンパク質を同定するための第一段階として、プロテオーム解析によるAPC/C標的タンパク質の網羅的な同定を行う。 ・M期の進行に関わっている因子が、植物個体の中では、非対称分裂に関わり、最終的には細胞分化を誘導している可能性がある。この可能性を明瞭にして、その仕組みを分子レベルで解明することを目指している。
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