研究課題/領域番号 |
23370029
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
松永 幸大 東京理科大学, 理工学部, 准教授 (40323448)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 染色体 / ピンポイント / 機能阻害 / イメージング / 細胞動態 / 細胞分裂 / 微細構造 |
研究概要 |
細胞や個体を生きたままイメージング中にタンパク質の機能を阻害し、タイムラグなく機能解析する方法の開発を進めた。申請者が同定した染色体タンパク質や微小管結合タンパク質を時空間特異的阻害した。中でも平成24年度はCell Press社のCell Reports誌に発表した業績を踏まえて、学会やシンポジウムにおいてピンポイント機能阻害法の講演を行い、本法の有効性を幅広い研究分野に伝えることができた。さらに、ライブセルイメージングシステムにより、パルス回数、パルス強度などのピンポイント機能阻害の条件設定を、細胞活性のモニタリングと共に実施して、ピンポイント制御技術を用いた細胞分裂解析手法を開発することができた。更なる染色体タンパク質を単離して、動原体における微小管-染色体接着を通じて、細胞分裂を制御するメカニズムを解明することができた。特に、ピンポイント機能阻害法はヒト培養細胞において開発したので、植物個体に適応可能になるように、シロイヌナズナの根を用いて条件設定を行った。その結果、植物個体においてもピンポイント機能阻害法が適用できるパルス回数、パルス強度などのピンポイント機能阻害の条件を定めることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
すでにピンポイント機能阻害法を開発し論文発表することができたから。現在、色体と紡錘体の動態情報を定量的に解析する方法をさらに開発して研究を進めているから。
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今後の研究の推進方策 |
ピンポイント機能阻害実験に成功し論文発表をすることができたので、タンパク質発現細胞ラインにより、ライブセルイメージングをしながらタンパク質のピンポイント機能阻害を実施する。本年度はライブセルイメージング解析との技術融合を集中的に進める。微小管結合タンパク質と染色体動態制御タンパク質をピンポイント阻害できる細胞ラインを構築したので、このイメージングラインを活用する予定である。画像構築は連携研究者の朽名夏麿博士の協力を得て調整および解析法の改良を進める。光阻害前後における細胞内微細構造変化、特に染色体と紡錘体の動態情報を定量的に解析する。さらに、染色体―紡錘体動態シミュレーションモデルの構築と実験的検証する。昨年度から収集しているイメージングによる動態情報を基に定量的パラメーターを、今年度も継続して収集し、特徴量から数理生物学的な手法を用いて、染色体-紡錘体動態のダイナミクスモデルを構築する。このモデルを作業仮説として、染色体や紡錘体の動態制御因子をRNAi法によりノックダウンして、ライブセルイメージングと3D再構築法によるピンポイント機能阻害を繰り返し、細胞内の現象をリアルに反映した染色体-紡錘体モデルに改訂しながら、細胞内微細構造ダイナミクスの制御メカニズムを明らかにする。
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