研究課題
Growth-blocking peptide (GBP)は自然免疫活性調節を担う昆虫サイトカイン である。本研究では、GBPの非感染ストレス条件下での活性化機構と細胞内情報伝達経路の解析を遂行してきた。本年度は、特に、アワヨトウ幼虫体液中のGBPの活性化機構について集中的に解析を行った。GBPは、主に脂肪体で前駆体GBP(precursor GBP(proGBP))として合成され、体液中へ分泌される。したがって、非ストレス条件下でも定常的に比較的高濃度存在していることが確認されている。このように高濃度存在するproGBPは、短時間(10分程度)の熱ストレス条件下で基質特異性の高いセリン型プロテアーゼによってプロセシングされて、(C末端側の)アミノ酸23残基からなる活性型GBPへと活性化されることを先ず確かめた。熱ストレスは、恐らく、体内での活性酸素濃度の上昇を誘起しているはずと予想した。したがって、熱ストレスの代わりに、過酸化水素(終濃度1 mM)を注射し、proGBPの活性化を測定した。その結果、予想通り、過酸化水素注射後10分にして、proGBPからGBPへのプロセシングが明瞭に進行することが分かった。以上の結果は、proGBPプロセシング酵素も、非ストレス条件下では不活性型で存在し、ストレスに伴って発生する活性酸素分子種で活性化することを示唆している。さらに、このプロセシング酵素活性化機構を解析した結果、当該セリン型プロテアーゼの活性化には、血球由来のタンパク質性の活性化因子が関与していることが明らかになった。即ち、血清中に存在する不活性型プロテアーゼは、活性酸素依存的に血球から放出される活性化因子によって活性化されることになる。この活性化因子の精製が完了し、現在、その構造解析を進めている。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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