研究課題
現生哺乳類の系統関係は,分子系統解析の適用によって近年大きく再編されたが,分子データを抽出できない絶滅分類群はこの再編から取り残されている。本課題は,絶滅哺乳類の肉歯目ヒエノドン科(Creodonta Hyaenodontidae)について,系統的位置を再検討するとともに,その古生物地理的特徴と系統的位置との関係を明らかにしようとするものである。(1)哺乳類の中での肉歯類の系統的位置を示唆する形質について,近位足根関節の形態に焦点を置き,検討した。京都大学霊長類研究所と国立科学博物館で,現生種(食肉目,有鱗目,真主獣類,異節類,アフリカ獣類,有袋類など)の非交連骨格の関節形態の観察,交連骨格での関節状態の観察を行った。デューク大学霊長類センター(米国ダーラム市)とカリフォルニア大学古生物博物館(米国バークリー市)で古第三紀化石種の観察を行った。ここから,①アフリカ獣類,肉歯類,霊長類における距骨cotylar fossaの相同性,②食肉目や有鱗目,ユーラシア獣類でこの形質が生じない構造的な要因について検討した。(2)研究代表者と分担者が参加している調査(モンゴルのErgilin Dzo層,ミャンマーのPondaung層など)において収集した肉歯類および共伴哺乳類標本の同定を進めた。モンゴル産化石については,先行研究で収集された標本についても観察許可が得られたため,これらのデータの収集と分類の再検討を行った。一部成果を学術雑誌で公表したほか,Society of Vertebrate Paleontology (古脊椎動物学会)などで発表した。(3)肉歯目ヒエノドン科内の系統分類については幾つかの仮説が提示されている。これらの仮説から示唆されるヒエノドン科内の古生物地理が,本研究課題で行っている古第三紀アジアの哺乳動物相での古生物地理イベントと整合するかを検討した。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Gondwana Research
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10.1016/j.gr.2013.04.007
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