研究課題/領域番号 |
23370045
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
出口 博則 広島大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (60117017)
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研究分担者 |
嶋村 正樹 広島大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (00432708)
坪田 博美 広島大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (10332800)
山口 富美夫 広島大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (60244290)
榊原 恵子 広島大学, 理学(系)研究科(研究院), 特任助教 (90590000)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | コケ植物 / 葉緑体ゲノム / 進化 / 系統 / 分類学 |
研究実績の概要 |
セン類に関しては、ヨツバゴケ、アリノオヤリ、タチゴケモドキ、ウチワチョウジゴケの4種に関して新たに葉緑体ゲノム配列を決定した。これにより、セン類の主要分類群(8綱のうち7綱)を網羅するデータセットを得る事ができた。これまでにない大規模な葉緑体遺伝子配列セットを用いた分子系統解析を行い、国際学会(1件)と国内学会(1件)で研究発表を行った。前年度までに解析を終えたナンジャモンジャゴケに関してはRNA編集の状態について明らかにするためcDNAの配列の解析をすすめた。cDNAの解析の結果から、葉緑体ゲノム中に約900カ所のRNA編集部位が存在することがあきらかになった。 タイ類のコマチゴケ目,ウスバゼニゴケ目,ウロコゴケ目,フタマタゴケ目より,それぞれ1種類以上生鮮試料を確保し、LA-PCR葉により葉緑体ゲノム全長の増幅が可能である事を確認し、次年度以降に解析を進める体制が整った.このうち、タイ類で形態学的・系統学的に最も原始的と考えられるコマチゴケ綱のコマチゴケに関しては,すでに葉緑体ゲノム配列の詳細な解析,アノテーション作業を行った。コマチゴケの葉緑体ゲノムは、逆位反復配列を構成する遺伝子が他のコケ植物と異なることが明らかになったが、全体の遺伝子構成に関しては、他のタイ類やツノゴケ類、セン類の中で系統的に基部に位置するものと非常に類似していた。セン類・タイ類・ツノゴケ類の共通祖先は類似の葉緑体ゲノム構造を持っていたと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
セン類の主要な系統関係を議論する上で重要な代表的な分類群に関してゲノム解析が終了した。タイ類に関しても解析に着手することができた。おおむね、当初の計画通りの進行状況と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
前年度に決定したセン類4種、タイ類1種の葉緑体ゲノムのアノテーション作業を行う。さらにタイ類のウロコゴケ綱から新たに2種以上の材料を選定し、葉緑体ゲノムのシークエンスし、遺伝子のアノテーションを作業を行う。 葉緑体ゲノム中に多数のRNA編集部位がみつかった種については、RNA編集の頻度や周辺配列の特徴を解析する。 これまでの解析結果の総合的な考察を行い,遺伝子の有無,配置順序,ゲノム分子の存在形態などについて,セン類,タイ類,ツノゴケ類それぞれの共有派生形質と考えられるゲノム構造が見いだす.本研究で得られた多数の遺伝子配列を利用した、分子系統解析を平行して行う。セン類,タイ類,ツノゴケ類それぞれの下位分類群間でも同様の解析を行う.緑藻類やシダ植物のデータとも比較することで,各分類群の分岐順序、陸上植物の葉緑体ゲノムの進化過程について議論する. 得られた配列データを早急に公共データベースに登録し,研究成果をとりまとめ,学会,専門誌に発表,公表する.
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