• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2011 年度 実績報告書

外向き型及び内向き型バンド3/抗体複合体の三次元結晶構造解析

研究課題

研究課題/領域番号 23370049
研究機関京都大学

研究代表者

小林 拓也  京都大学, 医学研究所, 講師 (20311730)

研究分担者 濱崎 直孝  長崎国際大学, 薬学部, 教授 (00091265)
キーワード赤血球 / アニオントランスポーター / バンド3 / 結晶構造解析 / 抗体
研究概要

バンド3は赤血球膜タンパク質の25%を占める主要膜タンパク質であり、世界中でこれまで30年以上、多くの研究者によって研究がなされている。赤血球膜タンパク質バンド3は、陰イオン交換トランスポーター(Anion Exchanger)ファミリーの一員であり、塩化物イオン(C1-)と重炭酸イオン(HCO3-)など一価の陰イオンを交換輸送することが知られている(図1)。バンド3は分子量約100KDaで、大きく二つのドメインから構成されている。バンド3は細胞質に突出したN末ドメイン(40kDa)を介して、アンキリンやスペクトリンなどの細胞骨格タンパク質ネットワークを細胞膜に繋ぎ止め、赤血球の形態を維持している。また、膜貫通部分であるC末ドメイン(55kDa)はC1-とHCO3-の交換反応を司り、炭酸脱水素酵素と協調して組織や細胞の必要酸素量を検出するメタボリックセンサーとして機能し、赤血球の酸素と二酸化炭素運搬に必須の役割を果たしている。従って、C末ドメインの構造異常は陰イオン透過活性だけでなく細胞膜裏打ちタンパク質ネットワーク全体の破綻にも結びついていると考えられる。実際、バンド3異常で溶血性貧血がおこる原因のかなりの部分が細胞膜貫通ドメインの不安定化と推測されている。我々はバンド3の膜貫通ドメインの立体構造を解明し、バンド3タンパクの陰イオン透過機構の解明を目的としている。その結果、本年度は分解能3.4Åの電子密度図に対しモデル構築と精密化を進めて、外向き型バンド3の結晶構造を決定した。現在、論文投稿準備中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

モデル構築には苦労したが、無事位相も決定し、精密化することができた。ヒト由来アニオントランスポーターとしては世界初の膜蛋白質になるので、早く論文をまとめたい。

今後の研究の推進方策

現在、内向き型に固定化する化合物を処理して結晶化を試みている。できるだけ早く高分解能の結晶を出せるか否かが重要なポイントになると考えている。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Structure of the human M2 muscarinic acetylcholine receptor bound to an antagonist2012

    • 著者名/発表者名
      Haga K., et al
    • 雑誌名

      Nature

      巻: 482 ページ: 547-551

    • DOI

      doi:10.1038/nature10753

    • 査読あり
  • [雑誌論文] G protein-coupled receptor inactivation by an allosteric inverse-agonist antibody2012

    • 著者名/発表者名
      Hino T., et al
    • 雑誌名

      Nature

      巻: 482 ページ: 237-40

    • DOI

      doi:10.1038/nature10750

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Structure of the human histamine H1 receptor complex with doxepin2011

    • 著者名/発表者名
      Shimamura, T., Shiroishi, M., Weyand, S., Tsujimoto, H., Winter, G., Katritch, V., Abagyan, R., Cherezov, V., Liu, W., Han, G.W., Kobayashi, T., Stevens, R.C. and Iwata, S
    • 雑誌名

      Nature

      巻: 475 ページ: 65-70

  • [学会発表] Towards structure based GPCR pharmacology2012

    • 著者名/発表者名
      小林拓也
    • 学会等名
      Gordon Research Conference
    • 発表場所
      米国
    • 年月日
      20120115-20120120

URL: 

公開日: 2013-06-26  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi