研究課題/領域番号 |
23370052
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
福山 恵一 大阪大学, 理学研究科, 教授 (80032283)
|
研究分担者 |
和田 啓 大阪大学, 理学研究科, 助教 (80379304)
海野 昌喜 茨城大学, フロンティア応用原子科学研究センター, 准教授 (10359549)
|
キーワード | ビリン色素 / X線結晶解析 / 光合成色素 / シアノバクテリオクロム / 酵素反応機構 |
研究概要 |
ビリン色素を合成する主要な色素(HOとPcyA)、およびビリン色素を利用して光適応牽制御するシアノバクテリオクロムについて、構造生物学的にアプローチしてこれらの分子機構の解明に迫った。 ・PcyAによる還元の分子機構の解明 本テーマでは還元反応の要となる水素原子の直接観察を目的としている。そのために中性子回折法の適用に向けた準備を進めた。本実験遂行に必要となる巨大結晶の析出条件を精査し、約1.5mm角の結晶を得ることに成功した。一方、PcyAを還元する蛋白質フェレドキシンの結晶構造を1.46A分解能で再決定し、フェレドキシンのフレキシビリティ等を明らかにするとともに、電子伝達複合体の構造を推定した。 ・ヘムオキシゲナーゼの動的構造解析 我々は以前の研究から、ヘムオキシゲナーゼが基質を取り込む際には構造変化が必要であること見出していた。本テーマでは、その構造変化を実験的に捉えるためにNMR(R2-dispoersion法)を用いた解析を進めた。重水素置換した精製ヘムオキシゲナーゼを用いてNMRスペクトルを測定し、現在解析を進めている。 ・シアノバクテリオクロムの構造解析 シアノバクテリアは光レセプターを持ち、その全長の発現・精製を試みた。この蛋白質はアグリゲーションを起こしやすい性質を持つことから様々な精製条件を試みたところ、結晶化に適用可能な精製標品を得ることができた。さらに、結晶化スクリーニングを進め、微結晶が析出する条件を見出している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在のところ、掲げたテーマのほとんどは計画通りに進んでいる。シアノバクテリオクロムの構造解析には困難が予想されるが、問題点を一つ一つ解決しており、着実に進んでいる。
|
今後の研究の推進方策 |
・現在得ているNMRスベクトルを解析し、ヘムオキシゲナーゼの基質結合に伴う動的構造変化を実証する。 ・シアノバクテリアがもつ光レセプターに関しては、まずは結晶性の向上を図る。その後、X線結晶構造解析により立体構造を明らかにし、光受容に共役したリン酸化活性の制御機構を推定する。
|