研究課題/領域番号 |
23370053
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
児嶋 長次郎 大阪大学, たんぱく質研究所, 准教授 (50333563)
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研究分担者 |
藤原 敏道 大阪大学, たんぱく質研究所, 教授 (20242381)
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キーワード | NMR / 構造生物学 / 膜蛋白質 |
研究概要 |
平成24年度は、平成23年度から継続して選択標識のための個々の基盤技術課題(1)~(3)の開発を進め、膜画分を用いた評価法に基づき大腸菌由来のバックグラウンドを抑制したpHtrIIの選択標識技術を確立した。また新規課題(4)として大腸菌そのものに高磁場DNP法を適用する研究に着手した。 課題(1) 観測する膜蛋白質のみを安定同位体標識する技術を開発した。2回膜貫通型蛋白質pHtrIIの大腸菌大量発現系において、培養時に非標識培地を、蛋白質の発現誘導時に安定同位体標識培地を用いることで、pHtrIIのみを安定同位体標識した。帰属や立体構造解析を容易にするため、均一標識試料だけでなくアミノ酸選択標識を行った。 課題(2) バックグラウンドとなる大腸菌由来のNMR信号を抑制する標識技術を開発した。pColdシステムを用いた低温での発現誘導により、発現誘導後の目的膜蛋白質以外の蛋白質の翻訳を抑制した。 課題(3) バックグラウンドとなる大腸菌由来のNMR信号を抑制する重水素フィルタ技術を開発した。目的蛋白質を重水素標識することで重水素フィルタリングを行い、大腸菌由来の信号を抑制するための測定技術を開発した。 課題(4) 大腸菌へ高磁場DNP法を適用する研究に着手した。研究分担者の藤原らが開発中の高磁場DNP法を大腸菌に適用するため、グリセロール水溶液にバイラジカル(1分子中に2個のラジカルを持つ化合物)と検出対象を共存させ、100 K 以下の低温にて測定を行う実験系を立ち上げた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度は、平成23年度から継続して選択標識のための個々の基盤技術課題(1)~(3)の開発を進め、膜画分を用いた評価法に基づき大腸菌由来のバックグラウンドを抑制したpHtrIIの選択標識技術を確立し、当初の予想を上回る成果が得られた。特に課題(1)のアミノ酸選択標識と課題(2)のバックグラウンド信号の抑制は当初の予想を大きく上回るものであった。しかし、新規課題(4)の大腸菌そのものに高磁場DNP法を適用する研究には若干の遅れがある。これらから、本研究課題の当初研究目的はおおむね順調に進展していると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
研究はおおむね順調に進展しており、今後も当初計画どおりに研究を進める。
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