研究課題
真核細胞には多数の細胞内オルガネラが存在し、それぞれには特定のタンパク質が局在化する。リボソームによって合成される膜タンパク質分子が、適切なオルガネラ膜を識別して移行し、膜内での機能的立体構造を形成するまでの一連の過程の理解を目的とし、本研究の今年度には以下の成果を得た。(1)複数の膜貫通部分を有する膜タンパク質(赤血球バンド3タンパク質および人工的モデルタンパク質)の膜への組み込みについて、組み込み途上でトランスロコンとリボソームの接合が一時的に解離し新生鎖が細胞質に露出しうること、1型シグナルアンカー配列による上流配列の動き阻止には高い親和力が必要なこと、1型シグナルアンカーによる強制的組み込み機構が分子内で作動していることなどを明らかにした。(2)小胞体トランスロコンを通したポリペプチド鎖の動きは、一方向的に単純に進行するのではなく、配列上に存在するアミノ酸残基によっては一時的に逆方向へ揺らぎながら内腔へと動くこと、その順方向への駆動要因の一つが小胞体内腔に存在することを明らかにした。ポリペプチド分子の動き原理の解明につながる成果である。(3)トランスロコンにおける疎水性配列の動き停止と安定的保持に対して、新生鎖合成途上のリボソームが影響することを明らかにした。リボソームは、疎水性配列を動ける状況に保持する。(4)小胞体の膜透過に対して、フォスファチジルセリン結合タンパク質(ラクトカドヘリン)が阻害的に作用することを明らかにした。(5)代表的な内在性膜タンパク質であるABC輸送体のペルオキシソームアイソフォーム(PMP70)の分子内に存在する、「膜タンパク質小胞体標的化抑制モチーフ(N12)」に結合するタンパク質因子の定量的アッセイ系を確立し、因子をクロマトグラフィーで分画後追跡可能とした。因子精製への道が開かれた。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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