研究課題/領域番号 |
23370059
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究分野 |
機能生物化学
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
井筒 ゆみ 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (20301921)
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研究分担者 |
岩渕 和也 北里大学, 医学部, 教授 (20184898)
伊藤 道彦 北里大学, 理学部, 准教授 (90240994)
岡 敦子 日本医科大学, 医学部, 教授 (50175254)
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キーワード | アフリカツメガエル / 両生類の変態 / 免疫 / 抗原 / 細胞死 / 皮膚 / T細胞 / タンパク質 |
研究概要 |
両生類の変態期では、幼生から成体型へと劇的な組織の再編成 (リモデリング) が起こる。我々が同定した変態期に新たに分化してくる成体型のTリンパ球から異物として認識される自己抗原タンパク質 (オウロボロスと命名)は、変態期に上昇する甲状腺ホルモンによって発現が制御され、幼生の尾で一過的に発現する。この時、変態期の尾はTリンパ球の攻撃対象となり、尾組織の退縮が遂行されると考えられる。我々は、自己抗原タンパク質を介した免疫システムが組織再構築(リモデリング)に関わることの分子機構の解明を目指している。そのため、当研究グループで系統維持されているトランスジェニックカエル等を用い、分子・細胞・個体レベルから解析を行った。『甲状腺ホルモンー受容体』系によるouro1, 2遺伝子の転写調節機構に着目し、変態後期尾部の発現限局を調べた。その結果、幼生の皮膚特異的に発現するouro1、2遺伝子は、胴体部と尾部の皮膚では甲状腺ホルモンによる感受性が異なることが判った。胴体部と尾部の皮膚組織の、変態前期から後期に至る各ステージにおいて、量的発現の変動も明らかとした。これらの結果は、投稿論文を作成中である。蛍光ラベルを用いてリンパ球を可視化し、オウロボロスを過剰発現させた組織の崩壊に働く様子をリアルタイム映像でとらえることに成功した。撮影条件などの予備的データはほとんど得られた。今後は、コントロール実験群の個体数を増やすなどして実験を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた、顕微鏡下でのリアルタイム映像は、個体を麻酔せず生きたまま撮影することで得られるため、様々な実験条件の工夫が必要であったが、ほぼクリアできたので、おおむね順調といえる。
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今後の研究の推進方策 |
上記研究に使用する実験動物は、当研究室内で作成され、系統化されたトランスジェニックカエルである。従って研究室内における系統維持と、次世代作成の度に行われるトランスジーン由来の配列が正しく遺伝しているかなどの検査に、莫大な人的コスト(あるいは消耗品も含めたコスト全般)がかかる。実際には、そのほとんどを大学院生が担当している。さらに、カエルの性的成熟には一般的に2年かかることや、研究対象としている両生類の変態期にまで成長させるためには約60日(2ヶ月)かかることから、少なくともその期間内では途中で中断することがないよう、ある程度継続して研究出来る環境が必要である。現状の国立大学(旧称)では極めて難しいため、緊急に対応策が必要である。
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