研究課題/領域番号 |
23370059
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
井筒 ゆみ 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (20301921)
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研究分担者 |
岩渕 和也 北里大学, 医学部, 教授 (20184898)
岡 敦子 日本医科大学, 医学部, 教授 (50175254)
伊藤 道彦 北里大学, 理学部, 准教授 (90240994)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | アフリカツメガエル / 両生類の変態 / 幼生抗原 / 免疫 / 細胞死 / 皮膚 / T細胞 / タンパク質 |
研究概要 |
平成24年度は、主として抗原タンパク質オウロボスを介する尾の細胞死に関わる免疫細胞の機能解析を行った。これまでに、オウロボスの機能解析はトランスジェニック動物を使った過剰発現とノックダウンの2つの方法によってなされている。結論として、尾の細胞死に抗原タンパク質オウロボスの発現が必要であることが示されている。一方で、その抗原タンパク質を標的として働く効果免疫細胞の発現が無い、もしくは、極めて弱い時期の幼生の尾にオウロボスを過剰発現させても、尾の細胞死は起こらない。このことから、抗原タンパク質オウロボスの発現とそれを標的として働く免疫細胞の効果の2つが尾の細胞死に必要十分であることが予想される。しかしながら、免疫系の機能解析は行われていない。その理由は、免疫系のノックダウン法にある。免疫系の阻害には、免疫抑制剤などによる薬剤処理が使われるのが一般的であるが、免疫抑制剤はアポトーシスそのものを阻害してしまい (Walter et al., 1998; Szydlowska et al., 2006)、尾の組織の細胞死に免疫系が関わるという我々の実験系には使えない。そこで、我々は、当該研究室内で樹立・維持されているトランスジェニック系統を用いて、効果細胞を特異的抗体で生体内に投与し、除去することで免疫系の阻害実験を行った。まだ数個体でしか結果が得られていないが、免疫細胞の減少が確認され、異所的に抗原タンパク質オウロボスを発現させても、発現組織の細胞死は認められないことがわかった。今後は、引き続き上記実験を繰り返し行い、エフェクター細胞の分子的性状も特定する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画にあげたJ系統とトランスジェニック系統のハイブリッドの作成は順調に進んでおり、F1動物をつかってJ系統由来の免疫細胞をトランスファーすることによるgain-of-functionと、除去実験によるloss-of-functionの2つの実験系がほぼ確立し、データも出ている状態である。従って、おおむね順調であると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
申請者の発見した免疫系のターゲットとなり細胞死を誘導するタンパク質オウロボロスは、硬骨魚類や有尾両生類といった他の動物種においても、Ouro1とOuro2の「1対」で存在する。進化的にも保存されている遺伝子であることがわかっている。ツメガエル内在性の2つのOuroタンパク質は、2つ発現しないと機能しないが、免疫細胞との関わりについて今後は詳細に解析する予定である。
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