研究課題/領域番号 |
23370060
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
前田 裕輔 大阪大学, 微生物病研究所, 准教授 (00294124)
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キーワード | pH / ホメオスターシス / 糖鎖修飾 / 層板顆粒 |
研究概要 |
平成23年度研究計画に沿って今年度の研究実施状況・成果を報告する。 (1)セルソータ「によるリソソームpH測定法を用いそのpH異常変異細胞株を樹立・解析する…pHに対して異なった感受性を示す2種類の蛍光物質(カスケードブルーとオレゴングリーン488)で標識されたデキストランを作成しリソソームのpHが正確に測定できるか検討中である。 (2)GPHR欠損細胞の表現型であるタンパク質輸送遅滞・糖鎖修飾異常・コレステロール生合成減少の分子メカニズムを解明する…a)糖鎖修飾異常に関しては糖鎖転移酵素並びに糖ヌクレオチドトランスポーターの影響を詳細に検討しこれまで報告されてきた糖鎖転移酵素の局在異常が主たる原因ではなく糖ヌクレオチドトランスポーターの活性低下等が寄与していることを初めて明らかにした。これらの内容に関して近日中に投稿予定である。b)pH酸性化障害におけるタンパク質輸送遅滞に必須の新規因子を同定した。更にこの因子は糖鎖修飾異常にも必要であり、このことはこの分子が直接pHの異常を感知して下流の標的タンパク質の機能を調節している可能性がありpHホメオスターシスを理解する上で非常に重要である。 (3)GPHRのノックアウトマウスを作出・解析し、生体におけるpHホメオスターシスの役割を明らかにする…K5-Creとの交配によるGPHRコンディショナルノックアウトマウスの異常表現型の詳細な解析を高知大学医学部皮膚科との共同研究で行なった。基底細胞の空胞化や層板顆粒の形態・機能異常により表皮のホメオスターシスが破壊され異常な水分損失と毛根形成不全が起こることが明らかになった。この成果を今年度論文報告(現在in press)した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
pH酸性化障害におけるタンパク質輸送遅滞に必須の新規因子を同定したことは大きな収穫であり、また糖鎖修飾異常のメカニズムの詳細な解析は予定外の成果である。リソソームのpH異常変異細胞株の樹立に関してはpHを測定する系が完成した。コレステロール生合成減少のメカニズムの解明は現在進行中である。
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今後の研究の推進方策 |
pH酸性化障害におけるタンパク質輸送遅滞に必須の新規因子を同定できたのでpHホメオスターシスにおけるそのタンパク質の機能・役割の解明に力を入れる。またコレステロール生合成減少のメカニズムの解明に関しても今年度内に完結させる。
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