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2011 年度 実績報告書

新合成不良蛋白質のサーベイランスと選択的分解機構

研究課題

研究課題/領域番号 23370063
研究機関首都大学東京

研究代表者

川原 裕之  首都大学東京, 大学院・理工学研究科, 教授 (70291151)

キーワードユビキチン / プロテアソーム / タンパク質品質管理 / BAG6 / BAT3 / タンパク質分解 / 抗原提示 / アグリソーム
研究概要

新合成不良蛋白質は、通常、生成した直後にその異常性が認識され分解系にターゲットされるが、不良蛋白質の認識・分解がうまくいかないと、その毒性から病理的細胞死が誘導される。また、新合成不良蛋白質の分解産物が、MHC(主要組織適合抗原複合体)クラスIに提示される抗原ペプチドの供給源として重要であることも報告されている。このように新合成不良蛋白質の認識・代謝系は免疫応答や神経変性疾患などの防御に極めて重要であるが、その分子メカニズムはこれまで充分明らかにされてはいなかった。
我々は最近、BAG6が新合成不良蛋白質を特異的に認識して、これらをプロテアソーム系にリクルートすることを初めて明らかにした。BAG6を抑圧した細胞では、新合成不良蛋白質の代謝に失敗し高率で細胞死が誘導される。一方、MHCクラスI提示される抗原ペプチドは、新合成不良蛋白質の分解産物に由来する。我々は、本申請実験によって、MHCクラスIへの抗原ペプチド供給にBAG6が必須の役割を果たすことを見いだし、免疫系におけるBAG6(別名BAT3)の必須機能を初めて解明した。
本申請研究では、これまでの我々の成果を基盤に、BAG6が新合成不良蛋白質を特異的に認識する機構を生化学的に解明する。さらに免疫・神経組織に高発現するBAG6の特徴をふまえ、遺伝子機能抑圧細胞の作成を介してBAG6依存的代謝経路の生理的意義を解明し、得られた知見を細胞内不良蛋白質の新規サーベイランス機構としてその意義を提案することを目的として今後の研究を展開する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

本研究において、BAG6が「新合成不良タンパク質」を認識するために必要なドメインを絞り込みに成功しつつある。また、これまで知られていたBAG6の標的蛋白質群である「新合成不良タンパク質」に加えて、膜蛋白質のアッセンブリと品質管理にBAG6が必須の役割を果たす事を初めて解明した。

今後の研究の推進方策

順調に目標に向けた研究が進展しており、引き続き研究計画に従って本申請実験を遂行する。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2011 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) 図書 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] A novel signaling pathway mediated by the nuclear targeting of C-terminal fragments of mammalian Patched 12011

    • 著者名/発表者名
      Kagawa, H., Shino, Y., Kobayashi, D., Demizu, S., Shimada. M., Ariga, H. and Kawahara, H
    • 雑誌名

      PLoS ONE

      巻: 6 ページ: e18638

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0018638

  • [雑誌論文] Calpastatin, an endogenous calpain-inhibitor protein, regulates the cleavage of the Cdk5 activator p35 to p252011

    • 著者名/発表者名
      Sato, K., Minegishi, S., Takano, J., Plattner, F., Saito, T., Asada, A., Kawahara, H., Iwata, N., Saido, T.C., Hisanaga, S.
    • 雑誌名

      J.Neurochem.

      巻: 117 ページ: 504-515

    • DOI

      doi:10.1111/j.1471-4159.2011.07222.x

    • 査読あり
  • [学会発表] 細胞内凝集体の形成制御におけるBAG6/GDX複合体の機能2011

    • 著者名/発表者名
      松本裕文, 南亮介, 横田直人, 川原裕之
    • 学会等名
      第34回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜
    • 年月日
      2011-12-14
  • [図書] 実験医学、第29巻、7月増刊号「細胞内のリノベーション機構:タンパク質分解系による生体制御」2011

    • 著者名/発表者名
      川原裕之, 南亮介
    • 総ページ数
      121-126
    • 出版者
      羊土社
  • [備考]

    • URL

      http://www.biol.se.tmu.ac.jp/labo.asp?ID=celche

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公開日: 2013-06-26  

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