研究課題
代表的なG 蛋白質共役型受容体(GPCR)であるロドプシンは、光を吸収すると構造変化を起こし、G 蛋白質を活性化する構造を獲得する。従来このような構造変化は、発色団の異性化の後で段階的起こり、最終的に活性構造に至ると考えられてきた。本研究では、ロドプシン分子はリガンドと結合していなくても潜在的に活性構造をとり得ると仮定し、その活性化メカニズムを構造平衡などの構造ダイナミクスの観点から検討した。25年度は以下の成果を得た。(1)24年度までの研究から、蛍光ラベルしたロドプシンの1分子計測によって、活性構造と不活性構造の変換を直接観測することに成功している。25年度は、アゴニストが結合しなくてもG蛋白質を活性化する構成的活性変異体(CAM)の性質を、構造ダイナミクスから説明できるかどうかを検討した。24年度に確立した発現系ロドプシンの一分子計測系を用い、代表的なCAMであるM247Yの構造平衡を一分子レベルで解析した。試料や装置を最適化した結果、活性構造と不活性構造の変換頻度を定量的に解析することに成功した。インバースアゴニスト結合状態(暗状態)やアゴニスト結合状態(Meta-II中間体)での変換頻度は野生型と大差なかったが、リガンド非結合状態では、CAMの変換頻度は大幅に上昇していた。これはバルク測定によるG蛋白質活性化効率と一致しており、構成的活性が構造ダイナミクスで説明できることが示された。(2)これまでに、高角領域のX線散乱を精度よく測定することによって、ヘリックスの構造変化を直接観測することに成功している。25年度はリン酸化ロドプシンとアレスチンの相互作用を、両者の結合による原点散乱強度の増加として観測した。ナノディスク試料を用いることで、従来の界面活性剤系よりも精度よく測定することができた。今後は、構造ダイナミクスと相互作用効率との相関を明らかにしたい。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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