研究概要 |
1.細胞周期による複製開始制御:Sld3とDrc1/Sld2のCDKリン酸化部位を同定し、リン酸化に依存してSld3-Cut5-Drc1複合体形成とCut5,Drc1の複製開始点結合に必要であることを示した(Fukuura et al, 2011)。 2.複製開始におけるMcm10の必須機能を解明:Mcm10は複製開始のどの反応に必要であるか、諸説まちまちであり不明であった。新規開発のオーキシンデグロン法を用いてMcm10の機能を解析した結果、Mcm10はCMG複合体に依存して複製開始点に結合し、複製開始点のunwindingに機能することを示した(Kanke et al, 2012)。 3.DNAポリメラーゼεの非触媒必須機能の解明:複製フォークでDNA複製を担うタンパク質複合体をreplisomeと呼び、DNAヘリカーゼとDNAポリメラーゼから構成される。リーディング鎖合成を担うDNAポリメラーゼεの触媒サブユニットCdc20のN末端ポリメラーゼドメインは生存に必須ではないが、C末端領域CTDは必須である。そのCTDの必須機能を解析した結果、CTDは複製開始段階でのヘリカーゼCMG複合体の形成に必須であり、また複製開始後のCMG複合体の移動に必要であることを示した(Handa et al,投稿中)。 4.染色体複製タイミング制御機構の解明:分裂酵母染色体内部の後期複製開始点の複製開始タイミングを規定するしくみに、複製開始点近傍にあるテロメア配列2コピーが必須であることを示し、さらにこの配列にテロメア結合タンパク質Taz1/TRF1/TRF2が結合することがタイミング制御に必要であることを示した。このしくみが、染色体上の約半数の後期複製開始点を制御していることが判明した(Tazumi et al,投稿準備中)。
|