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2011 年度 実績報告書

ヌクレオソームイメージングを用いたヒトゲノムクロマチンの細胞内ダイナミクスの解析

研究課題

研究課題/領域番号 23370078
研究種目

基盤研究(B)

研究機関国立遺伝学研究所

研究代表者

前島 一博  国立遺伝学研究所, 構造遺伝学研究センター, 教授 (00392118)

キーワードゲノム / 遺伝学 / 核酸 / 生物物理
研究概要

全長2mにもおよぶヒトゲノムDNAは人体の設計図であり、ヒストンに巻かれてヌクレオソーム構造を作り、直径約10μmの細胞核のなかに折り畳まれている。最近、代表者はこのヌクレオソーム構造がとても不規則な形で、核内や染色体内に折り畳まれていることを見出した。このことは、個々のヌクレオソームが規則的な構造として縛られず、ある範囲でダイナミックに動ける可能性を示唆する。このようなヌクレオソームの「ゆらぎ」に基づく動きが、遺伝子の発現、DNA複製、染色体凝縮などのゲノム機能に重要な役割を果たしているのではないだろうか。本研究では、このことを実証するため、生細胞内のヌクレオソーム1分子の動きを直接イメージングする技術を開発し、ヒトゲノムクロマチンの細胞内ダイナミクスを明らかにする。本年度は以下の実験をおこなった。
1,低発現PA-GFP-ヒストンH4コンストラクトの作製
PA-GFP-H4の低発現のため、通常用いられるCMVなどのウィルスプロモーターではなく、ヒトの内在性の弱いプロモーターを用いる方が望ましい。このため、ヒトCdk1プロモーターをもちいて発現コンストラクトを構築した。これによりCMVの100分の1程度の発現量に抑えられた。
2,PA-GFP-H4安定発現細胞の作製と観察
本研究では構築したコンストラクトを組み換え部位があらかじめ挿入されたHeLa細胞に、Flp-Inの組み換えシステムを利用して導入し、安定発現細胞株を樹立した。得られた細胞株には、決まったコピー数のPA-GFP-H4が、既知のゲノム部位に挿入されるため、挿入されたコンストラクトのコピー数は一定である。また、サイレンシングの起きにくいため、再現良い観察データが期待できる。さらに、ホルマリン固定したPA-GFP-H4安定発現細胞を用いて、1分子顕微鏡システムの構築および、観察条件設定をおこなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

低発現PA-GFP-ヒストンH4コンストラクトの作製が終了し、PA-GFPrH4安定発現細胞の作製と観察に成功しているため。

今後の研究の推進方策

今まで順調に問題なく計画を消化している。今後は。固定したPA-GFP-H4安定発現細胞を用いて決定した測定条件を基づき、生きた細胞で観察をおこなう。また1個1個のヌクレオソームの動きをトラッキングし、データを集める。さらに得られたヌクレオソームのシグナル中心をトラッキング(追跡)することによって、ヌクレオソームの動いた軌跡をトレースする。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] Human mitotic chromosomes consist predominantly of irregularly folded nucleosome fibres without a 30-nm chromatin structure2012

    • 著者名/発表者名
      Nishino, Y
    • 雑誌名

      EMBO J

      巻: 31(7) ページ: 1644-1653

    • DOI

      10.1038/emboj.2012.35

    • 査読あり
  • [雑誌論文] The integrator complex is required for the integrity of Cajal bodies2012

    • 著者名/発表者名
      Takata, H
    • 雑誌名

      Journal of Cell Science

      巻: 125 ページ: 166-175

    • DOI

      10.1242/jcs.090837

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Nuclear Size, Nuclear pore number, and Cell Cycle2011

    • 著者名/発表者名
      Maeshima, K
    • 雑誌名

      Nucleus

      巻: 2(2) ページ: 113-118

    • DOI

      DOI:10.1038/nsmb.1878

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Irregular folding of nucleosomes in the cell (Commentary)2011

    • 著者名/発表者名
      Takata, H.
    • 雑誌名

      Physics of Life Reviews

      巻: 8 ページ: 51-52

    • DOI

      10.1016/j.plrev.2011.01.005

    • 査読あり
  • [学会発表] How can we know the chromatin environment in living cells?-Structural analysis of mitotic chromosomes in living cells-2011

    • 著者名/発表者名
      Saera Hihara
    • 学会等名
      第49回日本生物物理学会年会
    • 発表場所
      姫路
    • 年月日
      20110916-20110918
  • [学会発表] How is a long strand of genomic DNA organized into chromosome?2011

    • 著者名/発表者名
      Kazuhiro Maeshima
    • 学会等名
      第49回日本生物物理学会年会
    • 発表場所
      姫路
    • 年月日
      20110916-20110918
  • [学会発表] Mitotic chromosome structure : irregular folding of nucleosome fibers without the 30-nm chromatin fiber2011

    • 著者名/発表者名
      Kazuhiro Maeshima
    • 学会等名
      Gordon Research Conference : Chromosome Dynamics
    • 発表場所
      Mount Snow Resort, VT, USA
    • 年月日
      20110710-20110715
  • [学会発表] How is a Long Strand of DNA Compacted into a Chromosome?2011

    • 著者名/発表者名
      Kazuhiro Maeshima
    • 学会等名
      Albany 2011 : 17^<th> Conversation
    • 発表場所
      Albany, SUNY, NY, USA(招待講演)
    • 年月日
      20110614-20110619
  • [学会発表] 生きた細胞の動的クロマチン構造2011

    • 著者名/発表者名
      日原さえら
    • 学会等名
      第1回細胞環境の測定とモデリングワークショップ(第4回JSBi応用システムバイオロジー研究会)
    • 発表場所
      神戸(招待講演)
    • 年月日
      2011-11-07

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公開日: 2013-06-26  

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