研究課題
全長2mにもおよぶヒトゲノムDNAは人体の設計図であり、ヒストンに巻かれてヌクレオソーム構造を作り、直径約10μmの細胞核のなかに折り畳まれている。最近、代表者はこのヌクレオソーム構造がとても不規則な形で、核内や染色体内に折り畳まれていることを見出した。このことは、個々のヌクレオソームが規則的な構造として縛られず、ある範囲でダイナミックに動ける可能性を示唆する。このようなヌクレオソームの「ゆらぎ」に基づく動きが、遺伝子の発現、DNA複製、染色体凝縮などのゲノム機能に重要な役割を果たしているのではないだろうか。本研究では、このことを実証するため、生細胞内のヌクレオソーム1分子の動きを直接イメージングする技術を開発し、ヒトゲノムクロマチンの細胞内ダイナミクスを明らかにする。最終年度は以下の実験をおこなった。固定PA-GFPの動き測定-ヌクレオソーム1分子の動きを直接イメージングする技術を確立する上で最重要な事柄のひとつは、顕微鏡システムにおける測定ノイズである。このことを調べるために、大腸菌で発現させたGFPを精製してガラス上に固定し、顕微鏡システムで測定した。その結果、12.8nm/30msecの動きが観察された。この値は生細胞内のヌクレオソームの値~50nm/30msecより十分に小さいと判断された。PA-GFPの融合位置の効果の検証-ヒストンH4のN末テール部分はアセチル化など多くの修飾が起こることが知られているため、最初用いたPA-GFP-H4はPA-GFPによる立体障害によって、H4のN末テールの適切な修飾が起こらない可能性がある。このため、H4のC末側にPA-GFPを融合させたコンストラクトH4-PA-GFPを作製し、安定発現細胞を作製し、解析をおこなった。その結果、ヒストンH4のN末、C末にPA-GFPを融合させても、ヌクレオソームのうごきに変化はなかった。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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