研究課題
真核生物で保存された主要な細胞骨格系の構成要素である微小管やアクチン線維が連続的・動的なネットワークを形成するのに対し、セプチンは不連続的・静的なフィラメントとして散在し、細胞の形状・剛性の制御、細胞膜の区画化、膜蛋白質の局在化などに寄与するが、生理機能には不明な点が多い。1)必須サブユニットSEPT7のコンディショナル・ノックアウトマウス系統を樹立し、神経突起の伸長・分岐異常をin vivoおよびin vitroで見出した。メカニズムとしてアセチル化チューブリンに脱アセチル化酵素HDAC6が結合して効率よく脱アセチル化する足場としてセプチンが必要であることを示した(Nature Communications 2013)。2)遺伝性パーキンソン病PARK2において、責任遺伝子PARKINの機能喪失からドーパミン神経細胞死に至る病態仮説としてユビキチンリガーゼParkinによる分解を免れて蓄積した基質の神経毒性が想定されている。Parkinの基質のうちSEPT4はLewy小体の副成分として主成分α-シヌクレインと共凝集する。そこでSEPT4を脳全域で発現するトランスジェニックマウス系統を樹立して慢性的過剰による影響を検討した。脳組織、黒質-線条体ドーパミン神経におけるα-シヌクレインやドーパミン輸送体などSEPT4関連蛋白質の発現量や可溶性、運動機能などには異常を認めなかったことから、SEPT4の慢性的過剰のみでは神経変性を誘発するには不十分であることが示された。一方、系統的行動解析により、自発活動量の減弱と社会的行動の変化を認めた。これらの所見は、パーキンソン病、統合失調症、双極性障害患者の死後脳で共通にみられるセプチンの蓄積を始めとする量的・質的異常が、活動性の低下など行動レベルの異常の一因となり得ることを示す最初の報告である(Molecular Brain 2013)。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of Biological Chemistry
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Nature Communications
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Molecular Brain
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https://sites.google.com/site/kinoshitalabnagoya/tasks
http://www.nagoya-u.ac.jp/about-nu/public-relations/researchinfo/upload_images/20131011_sci.pdf