研究課題
基盤研究(B)
骨は体幹を作る最も重要な器官であるが、どのように骨が発生してくるのか、ほとんどわかっていない。これまでマウスを用いた実験で、細胞生物学的な解析からはcbfa1,BMP・2に代表される骨形成に必須な転写因子、分化因子が解明されてきたが、骨の基本的な形態がどのように形作られるかほとんどわかっていない。メダカは透明で器官形成が見えること、トランスジェニックが作りやすくその蛍光の光で骨形成がトレースできること、さらに突然変異体が得られ、その原因遺伝子を発見しやすいことが挙げられる。我々はこのメダカを実験モデル生物として用い、骨発生・形成の基本的なシステムを解明する。特に、椎骨の発生システムは我々がメダカを用いることによって世界に先駆けて一部の解明を果たし、今後の研究発展が期待される。23年度の成果は以下の通りである。メダカ用いた新たな骨発生・形成、椎骨形成について以下の4項目について検討した。1.椎骨パターニングの解明:2種類の椎骨形成不全メダカの原因遺伝子を明らかにし、その分子機能の詳細な検討が可能になった。2.椎骨形成の細胞系譜:胚発生初期における細胞移植の実験系を確立した。このことにより、骨形成における前駆細胞の移動と分化が明らかにできるようになった。3.神経棘・血管棘形成における破骨細胞の活性化と神経管・血管の役割:破骨トランスジェニックラインにより破骨細胞の分化・活性化機構を明らかにし、国際発生生物学会誌に発表した。4.骨形成突然変異体の解析:頭蓋骨・ヒレ形成不全メダカから原因遺伝子のクローニングの結果、eda遺伝子であることが明らかになり、edaとその受容体edarの発現場所が特定され、特に、ヒレ骨形成のシステムが明らかになった。
1: 当初の計画以上に進展している
変異体の原因遺伝子が特定され、新たな骨形成システムの解明が可能になった。
メダカを用いた骨形成の解明には、従来の動物個体を用いた発生生物学に、細胞を特定してその機能を解明する細胞生物学の導入が必要である。そのためには、今後、新たなトランスジェニックラインの確立と細胞移植の技術の発展が必要である。
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