心臓が一生にわたって拍動を続けられるのは、心壁を走る冠動脈が酸素と栄養分を心筋のすみずみに供給するからである。冠動脈の形成には心臓の表面を覆う心外膜が必須である。心外膜は、心臓の外に生じた前駆細胞集団が、ある特定の発生段階に心臓に追加されることによって生じる。われわれは、胚が大きく母体外で発生する鳥類胚の利点を生かして実験発生学的解析や遺伝子導入実験等を行い、主に以下の点を明らかにした。(1) 心外膜前駆体の心臓への融合はEph-ephrinシグナル伝達を介した接触依存性のシグナル伝達の制御を受ける。(2) 心外膜由来間充織の形成と冠動脈の形成はともに血管内皮細胞増殖因子により促進される。
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