研究課題/領域番号 |
23370101
|
研究機関 | 国立遺伝学研究所 |
研究代表者 |
斎藤 成也 国立遺伝学研究所, 集団遺伝研究系, 教授 (30192587)
|
研究分担者 |
隅山 健太 国立遺伝学研究所, 集団遺伝研究系, 助教 (00370114)
|
キーワード | 組織特異的エンハンサー / トランスジェニックマウス / 進化発生 / 転写制御 / ホミニゼーション |
研究概要 |
本研究の計画の一つはヒトゲノム配列情報および他の哺乳類ゲノム情報を用いたバイオインフォマティクス解析による調節領域におけるヒト特異性の探索である。研究計画最初のステップとして、ヒトとそれ以外の哺乳類ゲノムを比較し、哺乳類のほぼ全般にわたって進化的に保存している非コード領域の中から、1)霊長類特異的にその保存性が失われ、進化速度が種分化時に増しているもの、ただし霊長類内では保存的である、2)ヒトのみで保存性が失われ、進化速度が増大しているもの、というふたつのカテゴリーに入るものを網羅的に探索することを計画していた。現在系統特異的に保存性を評価できる汎用解析プログラムを作成し解析中である。さらにChIP-seqデータ解析を行い、ゲノムワイドなヒト特異的機能配列の探索を行っているところである。これらの解析の試行から、胎盤機能に関係すると思われる領域にAlu配列に起源を持つと考えられるインシュレーター配列が発見された。Alu配列は霊長類だけに挿入が見られる配列で、実際にこの場所ではヒト細胞からのデータだけにインシュレーター様転写因子が結合していることが示されている。今後このようなヒトへの系統でのみ新たに獲得されたと考えられる機能配列を順次単離し機能解析していく予定である。このようなヒト特異的進化を遂げた調節領域候補について、形態形成遺伝子の発現量や発現領域の変化(ヘテロトピー)、あるいは時間的変化(ヘテロクロニー)を起こすかどうかが興味深いところであり、その機能解析を進めながら、ゲノムワイドにヒト特異的あるいは霊長類特異的変化を発見することを目指す。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ヒト特異的形質発現を生じたゲノム変化を探索するゲノムデータ解析について、当初の予定より遅れており、まだ解析が完了していない。従って、マウスを使う実験はまだ予備的な一部に限られている。一部についてはヒト特異的な機能配列をChIP-seqデータより見つけ出しており、その機構解析を始めることができた。
|
今後の研究の推進方策 |
ヒト特異的形質発現を生じたゲノム変化を探索するゲノムデータ解析については当初の予定よりやや遅れており、まだ解析が完了していない。今後も新しいデータを随時取り入れてChIP-seqデータによるヒト特異的機能配列の解析を進める。ただし、限定的な解析からはすでにヒト特異的な機能配列をChIP-seqデータより見つけ出しており、トランスジェニックマウスを用いてその機構解析を始めることができた。今後も随時推定された機能配列の解析をコンピュータ解析、トランスジェニックマウス実験の双方から進めていく。
|