研究概要 |
今年度はまず光制御同路および光提示システムを見直し,新たに製作した。パルス光の発生および制御はファンクションジェネレータ(GWINSTEK製 AGF-3000),直流安定化電源,および自作回路を用いた。光提示は直径45cmの積分球を製作し用いた、積分球内にピーク波長458nmの青色発光ダイオード(LED)を6個配置した。実験は暗室ブース内で実施した。被験者は色覚正常で健常な青年10名であった。被験者は積分球開口部から45cmの顎乗せ台に頭部を固定し,積分球から15cmの距離に設置した拡散板を注視した。パルス光のパルス幅は0.5,1.0,2.0,4.0,8.0,16.0μsおよび10msの7条件であった。光の放射照度は被験者の眼の位置で2μW/cm^2に設定した。実験は暗室内で40分間安静にした後に開始し,3分間の安静,光刺激(10s間隔で20回)時の瞳孔径測定,主観評価を条件毎に行った.光条件の順序はカウンターバランスを取った。この結果,すべの条件で縮瞳が確認された。パルス幅10msでは,平均1.6mm縮瞳し,他のすべての条件より有意に縮瞳は大きかった。16μsでは0.7mm縮瞳し,0.2mmの0.5μs条件および0.3mmの1.0μs条件より有意に大きかった。パルス幅(X)に対する縮瞳量(Y)の関係は,Y=0.22+0.151n(X)(R^2=0.71)と有意な回帰が得られた。主観評価では,「青み」感は0.5,1.0,2.0μs条件は弱く,4.0,8.0,16.0μs条件はやや弱く,10ms条件では強いことが示された。以上のように,青色(458nm)パルス光のパルス幅を調整し,縮瞳の量的・時間的な特性を検討し,ごく短い発光時間でも縮瞳が誘発されることを明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
23年度に得られた結果を精査すると共に,24年度は完成した実験システムを用いてパルス幅条件に加えて,視野条件,放射照度条件等についても検討する予定である。脳波,視覚誘発電位についてはすでに測定手法を確立しているが,網膜電図測定については23年度には調査段階は終了し,24年度に測定法を確立,実施することを計画している。
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