研究課題/領域番号 |
23370104
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
勝浦 哲夫 千葉大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00038986)
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研究分担者 |
下村 義弘 千葉大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60323432)
李 スミン 千葉大学, 環境健康フィールド科学センター, 助教 (90600429)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 生理人類学 / 青色パルス光 / 非視覚的作用 / 発光ダイオード / 縮瞳 |
研究概要 |
青色パルス光のパルス幅,放射照度等を詳細に検討し,視覚的作用を抑えた上で非視覚的作用を引き起こす青色光の特性を明らかにすることを目的として,青色パルス光を照射したときのヒトの瞳孔径,脳波等の生理反応測定,および主観評価を行った。被験者は正常な色覚を持つ健常な男子学生10名であった。基準光には白熱電球(放射照度15μW/cm2),刺激光には青色と白色の発光ダイオード(LED)を光源として用い,青色パルス光(放射照度 30, 15, 7.5 μW/cm2;パルス幅 200, 100, 50 μs)と白色光(放射照度15μW/cm2)を交互に点灯させた。青色パルス光の発光周期は1000 Hzとした。刺激光には青色光の量(放射照度とパルス幅の積)が等しい3条件と,青色光のパルス幅が等しい3条件を設定した。被験者は各刺激光条件下で9分間安静にした後,主観評価を3分間行った。5分間の休憩をはさみ,ランダムな条件の順序で試行を繰り返した。その間,瞳孔径,脳波(α波帯域率)の測定を行った。また,関西学院眠気尺度(KSS)を用いて眠気,Visual Analog Scale法を用いて集中力及び青みスコアを測定した。中放射照度(15μW/cm2)の100μs条件では,低放射照度(7.5 μW/cm2)の200μs条件よりも有意に縮瞳することが認められ,高放射照度(30 μW/cm2)の100μs条件では低放射照度の200μs条件よりも縮瞳する傾向が認められた。高放射照度の50μs条件では,低放射照度の200μs条件よりも主観的な集中力が有意に増加した。青みの知覚は,青色光の量が最大・最小の条件間でのみ有意な差が認められた。網膜電図測定については本年度に皮膚電極での測定が可能な誘発反応記録装置ピュレックを導入し,測定実績を蓄積した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度に完成した光制御回路及び光呈示システムを用い,本格的な実験を実施することができた。パルス幅を50~200μs,放射照度を7.5~30μW/cm2に設定し,青色光の量(放射照度とパルス幅の積)が等しい条件でも,放射照度が高い(パルス幅は狭い)方が有意に大きく縮瞳することが明らかになったこと,その場合,主観的な青み知覚には差が認められないことなど,興味深い知見が得られた。また,網膜電図測定に関して非侵襲的な測定法が確立できたことも大きな前進である。
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今後の研究の推進方策 |
本年度に得られた成果を検討すると共に,青色光と同時に緑色光を呈示した時の生理反応にも注目し,さらに実験を推進していく予定である。網膜電図については本年度に蓄積された結果を踏まえ,本格的な実験を行い,青色光の非視覚的作用の機序を明らかにすることを計画している。
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