研究課題/領域番号 |
23370107
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
工藤 奨 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70306926)
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研究分担者 |
世良 俊博 大阪大学, 臨床医工学融合研究教育センター, 特任講師(常勤) (40373526)
多田 茂 防衛大学校, 応用科学群, 教授 (70251650)
濱崎 啓太 芝浦工業大学, 工学部, 准教授 (50348900)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 人類学 / 生理学 / 循環器・高血圧 / 細胞・組織 |
研究概要 |
本研究では,ウェーブレット変換による周波数解析によりヒトの皮膚血流状態に影響を及ぼす5つの生理的要因(①血管内皮細胞,②神経活動,③血管平滑筋,④呼吸,⑤心拍)が抽出できることを利用し,寒冷,暑熱,精神ストレスなどの影響下で,ヒト皮膚血液循環にあらわれる個体差を5つの生理的要因の違いで分類すること.さらに,5つの要因をIヒト,II細胞・遺伝子発現,III動物のマルチスケールで詳細に解析をおこなうことにより,ヒト皮膚血液循環の個体差出現メカニズムを明らかにすることを目的とする. 23年度までは寒冷曝露時の皮膚血流計測をおこなったが,24年度は暑熱環境下でみられるHeat-induced vasoconstriction(HIVC)反応において,皮膚血流信号のウェーブレット解析から生理的要因を解析した.さらに別途心電図計測より算出されたR-R間隔から交感神経・副交感神経の影響を解析し,その結果とウェーブレット変換との対応を調べた.その結果,HIVC反応に対して神経,平滑筋が影響を及ぼしている可能性が考えられた. 血管作動性に関与する血管内皮細胞に関しては,光転換型タンパク質とアクチンの融合タンパク質を作製し,内皮細胞内局所でのアクチンの挙動を解析した.血流を模した流体刺激を負荷させた場合,細胞内上流と下流部位でアクチンの挙動が異なることが分かった. また,細胞移動に関与するタンパク質の一つであるPKCαとGFPの融合タンパク質を作製し,血管拡張・収縮を想定した引張刺激を負荷させた際,内皮細胞内でPKCαの挙動が局所で異なることが分かった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
24年度は当初計画通り暑熱環境下での皮膚血流の影響を調べ,神経,平滑筋の影響が大きいことがわかっため,また培養細胞を用いた研究に関しても血流や引張を想定した刺激において培養細胞内で変化が生じることが分かったため,おおむね順調に進展していると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
23,24年度は環境因子の影響について計測をおこなってきたが,25年度は精神ストレスかでの実験を行う予定でいる. 暗算などの精神的負荷を与え連続血圧を測定し異なったタイプの存在を報告した研究例があり,本研究においても,精神的負荷を与えた際の皮膚血流状態の個体差出現メカニズムを検討していく. 精神ストレス下ではホルモンなどの内分泌系の作用が強まると考えられ,唾液計測もおこなう予定である.内皮細胞や平滑筋細胞に関しては,精神ストレス下で上昇する化学物質の影響を調べる予定である.
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