研究課題
ダイズは幅広い緯度の下で栽培される適応性の高い作物である。開花は、ダイズのような子実作物の生産性や適応性を規定する重要な要素である。本研究課題は、ダイズの開花、特に感光性に関わる遺伝子の多様性とそれらのネットワークを明らかにすることを目的として、ダイズの主要な開花遺伝子(E1、E2、E3およびE4)の遺伝的多様性と、感光性を規定する、これら遺伝子とシロイヌナズナのFLOWERING LOCUS T(FT)のオーソログであるFT2aおよびFT5aの遺伝的関係について検討した。世界各地で栽培される非感光性53系統について、対立遺伝子特異的DNA標識ならびにシークエンス解析により4遺伝子座の遺伝子型を同定した。非感光性系統は3つの異なる遺伝子型からなり、非感光性に関与する新たなQTLが見出された。ウイルス誘導遺伝子サイレンシングによりE1様遺伝子(E1L)の機能を解析した結果、E1LもE1同様に開花を抑制し、特にFTの下流で働くとされるFRUITFUL遺伝子の発現に大きな影響を与えた。E1ならびにE1Lは、8時間日長下では発現が誘導されないが、その暗期の中間に光中断を与えることにより発現が誘導され、FT2aやFT5aの発現を抑制することによってダイズの開花を抑制していた。以上の結果から、ダイズの感光性には、E1、E3およびE4ならびにFT2aとFT5aが大きな役割を果たして、特定の時間帯に与えられた光シグナルがE3およびE4の制御を介してE1の発現を誘導し、FT2aおよびFT5aの発現を抑制して開花を制御することが明らかとなった。また、FT2aやFT5aには依存しないFRUITFUL遺伝子が関与する開花誘導系の存在も示唆された。今後は、FT2aおよびFT5aとFRUITFUL遺伝子の相互関係を明らかにする必要がある。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (4件) 図書 (1件)
Agronomy
巻: 3 ページ: 117-134
BMC Plant Biology
巻: 11 ページ: 152
Annals of Botany
巻: 113 ページ: 429-441
10.1093/aob/mct269