研究課題
これまで開発してきたポジティブ・ネガティブ選抜法に基づくターゲティング遺伝子改変法を改良し、実用品種イネの開発を目指し、平成24年度もターゲティング遺伝子改変後に遺伝子領域に残るポジティブ選抜マーカーをCre-loxP システムで削除する“ターゲティング・セルフマーカーフリーシステム”確立を継続した。再分化で発現誘導されるLeaf Panicle 2 (LP2)プロモーターをCre遺伝子に連結し、Creの発現誘導によりloxP 内部配列の削除が起きると、35SプロモーターとGUSが連結し発色するデザインのベクターの形質転換を行い、形質転換カルスの再分化を進め、GUSの発現頻度を追跡した。その結果、未分化カルスでは部分的なGUS発現が検出されたが、β-estradiol誘導型やヒートショックプロモーターのCre-loxP カセット活性化解析システムの結果に比較するとGUSの発現量は低く、再分化した不定芽の葉や根の一部でGUS発現が認められた。共同研究の奈良先端技術大学院大学、島本功教授のグループで研究されている耐病性のOsGef1遺伝子の点変異導入ターゲティングにLP2セルフマーカーフリーシステムを組み込む様にベクター構築を進めた。また、セルフマーカーフリーシステムを達成できない場合も考慮して、ターゲティング遺伝子改変後にCre遺伝子を再挿入して、ポジティブマーカーを削除する「2段階マーカーフリーシステム」の構築を進めた。その場合はターゲティングで用いるハイグロマイシン耐性に加えてCre遺伝子の再挿入のための第二の選抜マーカーnptII遺伝子をパロモマイシンで選抜する場合の最適条件を見いだしつつある。多数系統ヒ素耐性遺伝子PvACR3の形質転換イネからの種子が収穫できたため、検疫等の手続きを行い解析のため米国パデュー大学J.Banks教授の研究に送付した。
2: おおむね順調に進展している
ターゲティング・セルフマーカーフリーシステムの構築に関しては、Creの発現誘導にLeaf Panicle 2 (LP2)プロモーターを利用できる可能性を見いだした。さらに、「2段階マーカーフリーシステム」の構築と第二の選抜マーカーnptII遺伝子のパロモマイシン選抜の最適条件検討が進んだ。また、ヒ素耐性PvACR3形質転換イネ複数系統を育成して種子を収穫した。いもち病耐性については、OsGef1遺伝子の点変異導入ターゲティングにLP2セルフマーカーフリーシステムを組み込む様にベクターの構築が進んだ。
ターゲティング後のマーカーフリーにはLeaf Panicle 2 (LP2)プロモーターが利用できる可能性が見えてきたため、OsGef1遺伝子の点変異導入ターゲティングにLP2セルフマーカーフリーシステムのベクターを構築して、次いで、これらのターゲティング形質転換イネの機能解析を進める。また、マーカーフリーの効率が低い場合を考慮して2段階マーカーフリーシステム」の構築を進めることとし、Cre遺伝子を再導入するための第二の選抜マーカーnptII遺伝子の選抜条件も進めることとした。
すべて 2012
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件) 図書 (1件)
The Plant Journal
巻: 71 ページ: 85-98
10.1111/j.1365-313X.2012.04974.x
巻: 71 ページ: 564-574
10.1111/j.1365-313X.2012.05009.x