研究課題/領域番号 |
23380010
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
國分 牧衛 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (40323084)
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研究分担者 |
熊谷 悦史 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 東北農業研究センター, 研究員 (80583442)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | ダイズ / 二酸化炭素 / ダウンレギュレイション |
研究概要 |
これまでの研究において、高CO2・高温条件下では生育初期には光合成が促進され物質生産量が増加するが、生育後半においては光合成能の低下と物質生産能が低下する、いわゆるダウンレギュレイション現象の存在が認められた。本研究では、高CO2・高温条件下においてみられるダイズの生理機能およびその結果としての物質生産・子実生産のダウンレギュレイション発生機構を解明し、高CO2・高温条件に適応したダイズの育種・栽培技術の方向を呈示することを目的として実施した。そのため、ダウンレギュレイションの発生要因として、1)高CO2によるソース能(葉面積の展開と光合成)の変化、2)高温による体温の異常上昇と老化促進に伴う生殖器官の形成阻害、3)草型(伸育型)とダウンレギュレイション現象の関係、の各側面から解析した。 本年の主要な結果は以下のとおりである。 1)高CO2による生育後半における光合成の低下は、草型にかかわらず認められる、2)高CO2・高温条件下では気孔コンダクタンスと蒸散量の低下が認められ、そのことが体温上昇を招き、生理機能を阻害している可能性があること、3)無限伸育型系統は有限型系統に比べ、高CO2条件下における生育後半の物質生産能が高いこと、が明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、高CO2・高温条件下においてみられるダイズの生理機能およびその結果としての物質生産・子実生産のダウンレギュレイション発生機構を解明し、高CO2・高温条件に適応したダイズの育種・栽培技術の方向を呈示することを目的として実施している。 本年までに、1)高CO2による生育後半における光合成の低下は、草型にかかわらず認められる、2)高CO2・高温条件下では気孔コンダクタンスと蒸散量の低下が認められ、そのことが体温上昇を招き、生理機能を阻害している可能性があること、3)無限伸育型系統は有限型系統に比べ、高CO2条件下における生育後半の物質生産能が高いこと、などの結果を得ており、当初計画の70%程度の進捗率と判断される。残りの期間では、無限型、有限型におけるダウンレギュレイション発生機構の差異を解明する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、高CO2・高温条件下においてみられるダイズの生理機能、物質生産・子実生産のダウンレギュレイション発生機構を解明することを最終的な目的として実施している。本年までに、生育後半における光合成の低下と草型の関係、高CO2・高温条件下での気孔コンダクタンスと蒸散量の低下と体温上昇の関係、および無限伸育型系統は有限型系統に比べ、高CO2条件下における生育後半の物質生産能が高いこと、などの結果を得ているが、無限型、有限型におけるダウンレギュレイション発生機構の差異を総合的な理解に至っていない。残りの期間ではこの残された課題に努力を傾注する。
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