研究課題
これまでの研究において、高CO2・高温条件下では生育初期には光合成が促進され物質生産量が増加するが、生育後半においては光合成能の低下と物質生産能が低下する、いわゆるダウンレギュレイション現象の存在が認められた。本研究では、高CO2・高温条件下においてみられるダイズ物質生産能のダウンレギュレイション発生機構を解明し、高CO2・高温条件に適応したダイズの育種・栽培技術の方向を呈示することを目的として実施した。本年度は、ダウンレギュレイションの発生要因解明の一環として、草型(有限伸育型と無限伸育型)とダウンレギュレイション現象の関係を解析するため、「栄養成長が生育後半まで継続する無限型系統では、ダウンレギュレイションの発現は有限型系統よりも小さい」との仮説をたて、検証を試みた。 両親が同じ無限型・有限型系統を供試し、CO2濃度2水準(標準(外気)、高CO2(標準+200ppm))の処理を全生育期間与え、生育、生産機能、収量構成要素を調査・解析した。その結果、無限伸育型系統は有限型系統に比べ、1)高CO2条件下における生育後半の物質生産能が高く、子実生産量が大きいこと2)生育前半においては高CO2による生産機能(光合成能とその関連形質)の促進程度が大きいこと、3)ダウンレギュレイションの発現程度と生育後半における高CO2による生産機能の抑制程度は有限型と同等であること、が明らかとなった。これらの結果から、「無限型系統では、ダウンレギュレイションの発現は有限型系統よりも小さい」との仮説は生育前半では検証されたが、生育後半では検証されなかった。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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