研究課題/領域番号 |
23380012
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究分野 |
作物学・雑草学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
稲村 達也 京都大学, 農学研究科, 教授 (00263129)
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研究分担者 |
飯田 訓久 京都大学, 農学研究科, 准教授 (50232129)
村主 勝彦 京都大学, 農学研究科, 助教 (10226483)
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キーワード | 田畑輪換 / タンパク / 精密農業 / コムギ / ダイズ / リモートセンシング |
研究概要 |
本研究では、品質・収量の向上と安定化が重要である水田作のコムギおよびダイズを対象に、集落営農において品質と収量の圃場間・圃場内変動を是正する栽培管理(Precision Crop Management ; PCM)の設計と実証を行う。品質としてはタンパク含量を取り上げ、実証では品質・収量の変動是正と共に環境負荷軽減の効果を評価する。 本年度は、奈良県桜井市の大西、小泉、小泉出屋敷の3集落営農において、両作物の品質の圃場問・圃場内変動を一次的に支配する生育特性を解明するため、以下の研究を実施した。これらの生育特性は、本研究におけるモデル構築の基礎となる重要な情報である。 (1)苗立ち数と苗立ち時の地上部重・窒素保有量、コムギの小穂分化期と出穂期およびダイズ開花始期と着莢期の地上部重と窒素保有量をリモートセンシングにより10×10mメッシュで測定した。航空機画像のみではコストが高くなるので、生研センターと荏原が開発した携帯型リモートセンシングを併用した。 (2)品質と収量を実測により圃場ごとに測定するとともに、リモートセンシングの結果ら収量を10×10mメッシュで推定した。 (3)パス解析により、コムギについて、播種時の土壌特性の影響を受ける苗立ち数(初期生育量)と出芽深度がその後の生育過程(生殖生長始期における地上部生育量)を介して、収量と品質を規定する流れ図を作成した。 (4)(1)~(3)の結果をもとに、コムギについて、耕起播種時の土壌特性の中から、苗立ち数(初期生育量)と出芽深度を有意に制御可能な形質を選定し、苗立ち数(初期生育量)と出芽深度の制御を目的とするPCMのための管理戦略のプロトタイプを設計した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究におけるモデル構築の基礎となる重要な情報である両作物の品質の圃場間・圃場内変動を一次的に支配する生育特性を三つの集落営農において収集することができ、これらの生育特性の解析からPCMのための管理戦略のプロトタイプを設計することができたため、(2)と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
コムギとダイズの品質の圃場間・圃場内変動を一次的に支配する生育特性や土壌特性の調査を継続するとともに、これらの形質が作物の生長過程と収量を介して品質を規定する機構を明らかにし、先行研究の成果を活用しつつPCMのための管理戦略を設計する。次に、研究分担者が開発した可変播種同時施肥機を用いて管理戦略を実施し、リモートセンシング、収量センサー付きコンバイン、暗渠排水の採取と分析などの手法を用いて管理戦略の効果(品質・収量の変動是正と共に環境負荷軽減)を集落営農代表者らと共に評価し、その結果をPCMの設計にフィードバックすることを繰り返し、より実効性が高く普及可能なPCMの開発を目指す。
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