研究課題/領域番号 |
23380013
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
井上 眞理 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (60091394)
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研究分担者 |
湯淺 高志 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (40312269)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 転流 / オートファジー / 乾燥ストレス |
研究概要 |
アフリカのサヘル地域において広く栽培されるマメ科植物のササゲの特異的な乾燥ストレス耐性の解析は、乾燥地域の農業体系を構築する上でも重要な情報となる。本研究では、ササゲの子実成分を構成する窒素や糖および水に着目し、葉や子実など各器官の動態を調べた。ササゲは、子実肥大期に乾燥を受けると急速な葉の老化と子実の登熟を引き起こすことで収量を維持できることが知られている。そこで、ササゲの乾燥下での登熟機構を明らかにするために、葉の老化に着目して解析を行った。葉の老化の指標としては、高等植物における積極的な細胞内容物の分解機構として着目されているオートファジー(autophagy)を用いた。 本研究では、乾燥・摘葉・摘莢の処理を行い、乾燥条件下におけるササゲの葉における栄養状態と葉の老化の誘導の関係性を解析した。その結果、ササゲの葉は乾燥区、乾燥+摘葉区、乾燥+摘莢区において光合成を速やかに停止させることが明らかした。また、葉の老化とATGの発現は、乾燥区と乾燥+摘葉区において促進され、乾燥+摘莢区においては抑制された。これらのことから、乾燥による急激な同化産物の供給停止が葉における糖飢餓状態を引き起こした結果、オートファジーが誘導され、葉における糖の分解と子実への転流が促進されるというメカニズムが示唆された。また、ダイズを対象に、糖飢餓シグナルに応答したダイズのbZIP型転写因子とアミノ酸転流関連遺伝子の発現誘導および発芽時の活性酸素の役割についても合わせて発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本課題に関する原著論文を3報発表し、また、学会発表5件(国際会議1件を含む)で成果を公表しており、最終年度に向かってとりまとめを行っている。
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今後の研究の推進方策 |
オートファジーの誘導は乾燥ストレスによって引き起こされる葉の糖含量に依存するかどうかについて、ササゲやダイズなどマメ科作物実生へのスクロース飢餓処理を行い、ATGsの発現について検討する。また、葉における窒素含量とスクロース含量の動態とATGsの発現の関係について、デンプン等の不溶性糖の分解の時期と転流とオートファジーにより分解されたアミノ酸が子実へと転流される時期との関係について検討する。これにより、乾燥ストレスにより誘導されるマメ科作物の糖とアミノ酸の転流機構を明らかにする。
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