研究課題/領域番号 |
23380016
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
下村 彰男 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (20187488)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 文化的景観 / 地域個性 / 景観管理 / 支払意志額 |
研究概要 |
各地域における文化的景観の特徴(地域景観の個性)について検討するための枠組みとして、地形と土地利用パターンとの関係に関する整理を行った。これは、地形と土地利用パターンとの関係について一定の整理を行うことができれば、各々の地域と他地域との差異(各地域の特殊性)を見出すことが容易になり、地域景観の個性抽出のための簡便な方法になり得ると考えられる。実際には、沿岸部から山地部に至るまでの地形を傾斜の大きさ等の状況に応じて5区分するとともに、集落、水田、畑地、草地、森林による土地利用パターンとの関係をマトリックスの形式で整理した。その結果、傾斜に応じて水田利用が中心になるケースと、畑地利用が中心になるケースとに分けられ、土地利用の構成や位置関係に各地域の特徴が見られることが整理された。 また一方、景観管理のための財源確保に関する調査、つまり来訪者(観光客)の支払意志額に関する調査に関しては、調査対象地である大分県由布院温泉において事前調査を行い本調査のための調査設計を行った。事前調査で得られた結果としては、支払意志額の金額に関してはほぼ予想していた金額であったほか、被験者属性との関係に関しては、年齢層、居住地との距離、来訪経験については金額の多寡との傾向が見られた。しかしながら、期待した由布院温泉に関する理解度との関係については見出すことができず、理解度に関する質問形式の再検討が必要であることが示唆され、設問の再設計を実施した。また、本調査の実施方法に関して地元関係者との協議・調整を行い、平成25年度早々に本調査を実施する準備を整えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
文化的景観の特徴抽出のための方法論の開発については概ね順調に進展させることができたが、景観管理の財源確保に関する調査については、事前調査の結果、調査設計を修正する必要が生じたことと、地元関係者に対する調査協力依頼に手間取り、本調査を実施するタイミングを失してしまったため本調査が積み残しとなった。
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今後の研究の推進方策 |
地元関係者に協力を依頼しており、地元の協力のもとに本調査を速やかに実施するとともに、文化的景観の特徴抽出のための方法論の検討についても進め、景観の特徴抽出作業と景観管理方策とを合わせて分析を行いとりまとめ作業を急ぐ。
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