研究課題/領域番号 |
23380026
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
多田 安臣 香川大学, 総合生命科学研究センター, 准教授 (40552740)
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研究分担者 |
秋光 和也 香川大学, 農学部, 教授 (80263888)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 宿主特異的毒素 / 植物免疫応答 |
研究概要 |
エンバク葉枯病菌が生成する宿主特異的毒素ビクトリンはVb遺伝子保有エンバク品種に対し特異的に毒性を発揮する。これまで、ビクトリンの初期作用点はミトコンドリア内グリシン脱炭酸酵素複合体であると考えられていたが、我々は細胞壁タンパク質が同毒素の初期認識及びその機能発現に関与する可能性を示した。本年度は、細胞壁由来の新奇ビクトリン結合タンパク質(VBP)の単離を試みた。まず、精製ビクトリン標品とNHS-LC-LC-Biotinを反応させ、ビオチン化ビクトリン(VicBio)を作成した。VicBioの毒素活性は~200倍まで低下しているが、明確な宿主特異的細胞死誘導能を保持していた。そこで、感受性エンバク品種由来の細胞壁タンパク質とビオチン化ビクトリンを反応させた後、VBPをストレプトアビジンビーズで回収した結果、約15 kDaのタンパク質を検出した。本VBPの品種特異性を検討するために、Vb非保有エンバク品種から細胞壁タンパク質を抽出して相互作用解析を行った結果、感受性品種と同様にVBPが検出された。 また、VBPとビクトリンの結合解析を、 Biacoreを用いて行った結果、カルシウムキレート剤であるEGTAやEDTA添加により両者の相互作用能は著しく低下した。カルシウムはビクトリンのVBP結合に対し競合的に作用することが明らかになった。以上の結果より、ビクトリンはカルシウムを介してVBPと相互作用することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに、ビクトリンと相互作用する新奇VBPをエンバク細胞壁画分に同定することができた。現在は、予定通りVBPの同定を質量分析計により進めている。また、VBPとビクトリンの相互作用においてカルシウムが必須であることを明らかにし、以前報告されていたビクトリンの毒性発揮におけるカルシウムイオンの役割を示した。
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今後の研究の推進方策 |
エンバク細胞壁より同定した15 KDaのビクトリン結合タンパク質を、質量分析計を用いて同定する。栽培エンバク品種は6倍体でありゲノム解析が終了していないため、質量分析計による同定が困難な場合は、大容量の細胞壁タンパク質を用いてpull-downし、VBPのN末端シークエンスを同定する。また、細胞壁タンパク質と相互作用するVbタンパク質を酵母two-hybridシステムを用いて検出する。
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