研究課題/領域番号 |
23380030
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
佐原 健 岩手大学, 農学部, 教授 (30241368)
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研究分担者 |
鈴木 剛 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (10314444)
安河内 祐二 独立行政法人農業生物資源研究所, 農業生物先端ゲノム研究センター, 主任研究員 (50355723)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | BAC-FIS / コウモリガ / ヒゲナガカワトビケラ / 遺伝子マッピング / ゲノム比較 / コナガ |
研究概要 |
前年度に採集・飼育を行い蛹期に-80℃に保存したコウモリガからHMW-DNAを抽出精製し、BACライブラリーを構築した。構築したライブラリーから214クローンをランダムに抽出しインサートサイズを評価したところ、平均長が66.6Kbであった。さらに10クローンのBACエンドシークエンス5,546bpの決定を行ったところ、CG含量は35.9%とゲノム情報の最も充実したカイコゲノム(37.7%)と類似する値であった。 昨年度構築したコウモリガcDNAライブラリーから831種類の配列決定を行った。これらの情報をクエリーとしてカイコtBlastX検索を行ったところ約300の相同配列を得た。これらの結果を解析したところカイコ28染色体全てに対応する294の配列情報が得られていると考えられた。現在はSTSプライマーを作製しBAC選抜を行っており、31個のカイコ単一遺伝子オルソログを含むと考えられるBACクローンの選抜に成功した。今後は必要に応じて特定の配列情報取得とBACクローン選抜を行うこととする。 これらと同時並行的にコウモリガ幼虫の採集と飼育を再び行い、予定通り染色体標本の作製を行った。これら標本の評価のために、イBAC-FISHを行ったところマッピングに十分なシグナルが認められた。 毛翅目昆虫の代表とするヒゲナガカワトビケラを用いた研究を本格的に開始した。盛岡周辺の河川において採集した蛹個体からHMW-DNA抽出用プラグを作製した。制限酵素処理とそのパルスフィールド電気泳動結果からBACライブラリー作製が可能である純度を持つと判断され、現在DACライブラリーの作製とクローンのシングルストックを行っている。また、cDNAライブラリーも作製を完了し、現在配列決定を行っている。 また、コナガのBAC-FISHマッピングを行い、現在の知見を確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
年度当初に計画したコウモリガに関する研究は予定通り進捗しており、現在まで特段の問題はない。ヒゲナガカワトビケラのBACライブラリー構築を上回るペースで進捗していたが、ベクターに不具合が発生したため現在クレーム処理を行った上で再開することとしている。ただし、現在までにほぼ予定通りのBACクローンがストックできている。 これらの年当初計画に加えて、コナガでのBAC-FISHマッピングを再開して31染色体中25染色体へのマッピングを行った。 以上より本研究をおおむね順調に進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
コウモリガにおいてはカイコオルソログを含むクローンのBAC-FISHマッピングを集中的に行い、鱗翅目昆虫のリファレンスゲノム情報で有るカイコとのゲノム比較を完成する。 毛翅目昆虫のヒゲナガカワトビケラについては本年度の早い段階でBACライブラリーのストックを完成し、その評価を行う。さらに、cDNA配列情報からカイコ単一遺伝子のヒゲナガカワトビケラオルソログとカイコゲノム情報との対応関係の解析を行う。その結果から導かれるSTSプライマー作製とBAC選抜を行う。これらの結果に基づき今年度中に本種でのBAC-FISH系を確立する。そのために、さらに採集を進めて染色体標本の作製とストックも同時並行させる。
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