研究課題
本課題は,アメリカシロヒトリNPV感染によって誘導されるカイコ由来BM-N細胞のrRNAの分解機構を解析することによって,NPV感染細胞が発動する全タンパク質合成停止の分子機構を明らかにすることを目的としている.平成25年度は,① エンドリボヌクレアーゼBmIRE1のインヒビターであることが予想されるBmRLIの同定と機能解析と,② rRNA分解を誘導するウイルス因子P143のドメイン解析を中心に行った.まず,① については,BM-N細胞から,BmRLI遺伝子のクローニングを行った.BmRLI 遺伝子を発現プラスミドに挿入し,BM-N細胞に一過性発現させることにより,rRNA分解の抑制活性を調査した.その結果,Autographa californica(AcMNPV)感染により誘導されるrRNA分解に対して,抑制活性は認められなかった.そこで,AcMNPVおよびカイコNPVをそれぞれBM-N細胞に感染させて,各ウイルス感染細胞におけるBmRLI遺伝子の発現変動を調査した.その結果,rRNA分解が誘導されないカイコNPV感染では,BmRLI遺伝子のmRNA量は,感染時間に伴って増加する傾向が認められたのに対し,AcMNPV感染細胞では,感染後24時間においてBmRLI遺伝子のmRNA量は減少した.したがって,阻害因子であるBmRLIの発現は,rRNA分解誘導とパラレルに減少していることが示された.② については,rRNA分解を誘導するAcNMNPVのP143(Ac-P143)と,rRNA分解を誘導しないカイコNPVのP143(Bm-P143)の組換えタンパク質をBM-N細胞で発現することにより,Ac-P143のrRNA分解誘導に関わるドメインの解析を行った.その結果,Ac-P143タンパク質の宿主特異性決定に関わるドメインが,rRNA分解に関与していることが示された.
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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