研究課題/領域番号 |
23380037
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究分野 |
応用昆虫学
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研究機関 | 東京薬科大学 |
研究代表者 |
東浦 康友 東京薬科大学, 生命科学部, 教授 (60322492)
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研究分担者 |
駒井 古実 大阪芸術大学, 芸術部, 教授 (30186788)
太田 敏博 東京薬科大学, 生命科学部, 教授 (10266893)
原 秀穂 北海道立総合研究機構, 森林研究本部・林業試験場, 道東支場長 (40414271)
小野寺 賢介 北海道立総合研究機構, 森林研究本部・林業試験場, 研究主任 (40414247)
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キーワード | マイマイガ / ミトコンドリアDNA / マイクロサテライト / 遺伝子流動 |
研究概要 |
北海道各地で採集した卵塊から孵化させたマイマイガ幼虫からDNAを抽出して保存したのち、幼虫を飼育して、発育速度や齢数、卵塊ごとの性比を調べた。また、ミトコンドリアDNA(mtDNA)のCOI遺伝子のハプロタイプを調べた。卵塊を採集した場所は、厚沢部町と北斗市、ニセコ町、倶知安町、札幌市南区、旭邦市、東神楽町であり、これまでmtDNAハプロタイプが異なる境界であることが分かっている石狩低地帯の両側である。札幌市南区の卵塊では、孵化率が約50%で子がすべてメスになるものが半数含まれていた。北海道各地の卵塊から得た成虫を、mtDNAのハプロタイプが異なる組み合わせで交配して次世代の卵塊を得た。対照として同じ採集場所から育てた成虫同士の交配も行った。北海道マイマイガの遺伝子流動を調べるため、核遺伝子のマイクロサテライト多型を検出できるPCRプライマーを新たに3遺伝子座について開発した。各遺伝子座の対立遺伝子数が約30あり、これまで論文で公表されている5遺伝子座のプライマーも利用して遺伝子流動の実体を解明していく手がかりを得た。フェロモントラップによるオス成虫の採集を、釧路市と幕別町、富良野市、小樽市の北海道各地で行った。また、本州の、三田市と倉吉市、東広島市、三次市、四国の愛南町と宇和島市、九州の対馬市でも行った。採集したオス成虫からDNAを抽出し、ハプロタイプ解析をCOI遺伝子について行った。四国と対馬で採集したオス成虫のハプロタイプは、本州以南型ハプロタイプの他に、沖縄型のハプロタイプが含まれていた。mtDNAハプロタイプの解析では、本州以南型から沖縄型が300万年前に分岐し、北海道型は100万年前に分岐したとされている。系統的に非常に異なるマイマイガが日本各地で同所的に分布していることが明らかになったことで、これらの地域での遺伝子流動の実体解明も興味深い。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マイクロサテライトマーカーのPCRプライマーの新たな作成にも成功し、今後遺伝子流動の実体を明らかにする手がかりを得た。また、四国や対馬で、本州型ハプロタイプと沖縄型ハプロタイプが同所的に存在することが明らかになり今後遺伝子流動の解明に期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
今後も計画通り研究を進める。違う地域同士の交配による性比の片寄りを分析するため、性決定遺伝子の解析を行うほか、マイマイガで明らかにされている間性の遺伝的解析を行う。
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