研究課題/領域番号 |
23380038
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研究機関 | 独立行政法人農業生物資源研究所 |
研究代表者 |
田中 誠二 独立行政法人農業生物資源研究所, 昆虫相互作用研究ユニット, 上級研究員 (50370664)
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研究分担者 |
安居 拓恵 独立行政法人農業生物資源研究所, 昆虫相互作用研究ユニット, 主任研究員 (80414952)
辻井 直 独立行政法人農業生物資源研究所, 昆虫相互作用研究ユニット, 任期付研究員 (40568440)
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キーワード | 応用昆虫 / サバクトビバッタ / 相変異 / 大発生 / 体表物質 |
研究概要 |
混み合い反応 メカニズムサバクトビバッタの混み合い刺激に対する反応(群生相化)が、光などの条件にも影響を受ける、柔軟性をもった発育現象であることを証明するために、混み合い刺激における光の重要性について実験を行った。孤独相(単独飼育)メス成虫が混み合いの影響(大きく、黒化した艀化幼虫を生産)を受けるには、1日3時間以上の光条件下で混み合いにさらされることが必要であることがわかった。この場合、照度が高い場合は3時間の混み合いでよいが、低い場合は長時間(16時間以上)の刺激が必要であることがわかった。光の感受部位を特定するために、光を通さない黒いペイントや暗闇でも光を放ち続ける蓄光塗料を局部的に塗ることにより、複眼や単眼ではなくおそらく脳で光を感受していることを示唆する証拠を得た。密度効果に光が関与している現象は初めての例である。これらの知見に基づいて、次年度では関与する光の波長を特定する予定である。それらの知見は最終的には、光受容タンパク質とそれを発現する遺伝子の特定と発現部位の解明に繋がると考えられる。 体表物質の同定 混み合い刺激に関与する体表物質の解明をするために、サバクトビバッタのオス成虫の体表物質を有機溶媒で抽出し、その活性を効率的にアッセイする方法を模索した。その結果、孤独相メス成虫を1日オス4匹の混み合いに6時間さらし、次の日にオス個体の頭胸部でメス成虫の触角を3時間刺激すると高い反応が得られることがわかった。このスケジュールを抽出・分画した体表物質の同定のためのアッセイ系として採用する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大地震と節電との関係で大量にバッタを飼育できず、一部の実験を先延ばしにしたが、少数コロニーでも可能な実験を優先させ、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
研究を進展させるための状況には問題はないと思われる。研究計画にはモーリタニアにおいて野外での観察と実験を計画していたが、昨年、アフリカは広域にわたり大干ばつが起こり、サバクトビバッタはほとんど見られなくなった(モーリタニア国立アンチ・ローカスト研究所)。降雨とバッタ個体群の回復をまって、柔軟に対応してゆく予定である。実験室内での実験をその分集中して、前倒しで進めて行きたい。
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