研究課題/領域番号 |
23380040
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
牧野 周 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (70181617)
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研究分担者 |
金田 吉弘 秋田県立大学, 生物資源科学部, 教授 (30347207)
小原 実広 独立行政法人国際農林水産業研究センター, 生物資源領域, 研究員 (10455248)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | イネ / 多収 / 大粒 / 分子育種 / 環境保全 |
研究概要 |
大粒品種秋田63号をモデルに、超多収の実証と多収理論を構築する目的で、窒素あたりの収量構成要素の推移やバイオマス生産の生理解析も含め、秋田県立大学大潟村実験圃場を中心に行った。結果は、以下のとおりである。 1)秋田63号の親品種(父:秋田39号、母:オオチカラ)を含めて多収解析を行った。その結果は、昨年度の成果の再現性が確認できた。すなわち、秋田39号より30%ほど大きかったが、吸収窒素量当たりの総モミ数が秋田63号と秋田39号に差がなく、オオチカラの約2倍増であることがわかった。このことは、秋田63号がその大粒の一部の形質を持ちつつ、オオチカラに見られたトレードオフを解消した育種に成功し、39号のモミ数確保の優れた形質を保持していることがわかった(分担者の金田を中心に3者で行った)。 2)秋田63号の多収要因を分子遺伝的に解析し、大粒を決定している遺伝子と籾数確保を決定している遺伝子の同定に成功した。そこで、この遺伝子が機能欠損することで大粒となることがわかり、機能型と欠損型にわける後代育種を行った(分担者の小原が中心に代表者の牧野と担当した)。 3)秋田63号のポテンシャルな光合成能力を調べるため、イネ野生種Oryza rufipogonとの比較解析を行ったが、両者に明確な差を見出すことはなかった(牧野が担当した)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究代表者と分担者の研究の位置づけがしっかり定まっており、互いに効果的な共同研究が実施されているので、成果も順調に得られている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の方策は以下に述べるとおりである。 1)秋田県立大学大潟村実験圃場にて、秋田63号の親品種(父:秋田39号、母:オオチカラを含む)の多収解析を引き続き行う。本年は3年目の実験になるので、吸収窒素量と粒数・粒重の関係に特に確認する(イネの生産生理と光合成を研究分野とする代表者の牧野と分担者の金田と小原が担当)。 2)秋田63号の多収要因と判断された大粒を決定している遺伝子の機能型と欠損型に分離した秋田63号の後代F5系統の多収解析を行う。(分担者の小原が中心に代表者の牧野と担当)。 3)秋田63号では回復し、種子親であるオオチカラで欠損型となっているもう一つの大粒決定因子の遺伝子について機能型と欠損型に分離した秋田63号の後代F5系統の多収解析を行う(分担者の金田と小原が担当)。 1)から3)の実験を通して連携研究者、前忠彦東北大学名誉教授(現:東北大学総長特命教授)へ、研究アドバイザーとしての参画をお願いする。
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