研究課題
根などの細胞膜脂質改変による、アルミニウム(Al)他の様々な酸性土壌複合ストレスに耐性な植物を創生することを第一の研究目的とした。得られた主要な成果は、以下の通り。1.赤米とコシヒカリを±リン(P)の水耕栽培処理をし、メタボローム解析し、地上部抽出物、根部抽出物、根部浸出物から151、155、136個の代謝産物を検出した。低リン耐性は赤米で強く、コシヒカリで弱かった。強い赤米は、-P条件下で地上部の代謝産物濃度低下がより顕著であった。これは、強い品種でPリサイクル能がより高いことを示唆している。2.リン脂質をガラクト脂質に変換してPを節約させるためのPAH遺伝子や、ステロール生合成の鍵HMG遺伝子を過剰発現させた組換えイネを作出した。-P条件下で、PAHまたはHMG単独遺伝子の過剰発現株は、対照であるNOS系統と同程度の生育を示した。一方、PAH・HMG両遺伝子の過剰発現株は、-P条件下での生育に改善傾向が認められた。両遺伝子の過剰発現による脂質改変が低リン耐性の向上に寄与する可能性が示唆された。3.P欠乏により、イネは根のリン脂質が低下し、低カルシウム耐性やAl耐性が向上することを見出した。HMG遺伝子の過剰発現組換えイネのAl耐性が向上することを明らかにした。現段階では、根の細胞膜透過性へのAlの影響は、過剰発現株と野生株の間に明白な差が認められていないが、さらに検討中である。また、根のステロール量とAl耐性の関係も調査中である。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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