研究課題/領域番号 |
23380048
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
堀内 裕之 東京大学, 農学生命科学研究科, 准教授 (00209280)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 微生物 / バイオテクノロジー / 糸状菌 / PKC / 細胞壁 |
研究概要 |
プロテインキナーゼC(PKC)は真核微生物から高等動物まで保存されたキナーゼであり哺乳動物においては様々なシグナル伝達系で中心的役割を果たしていることが知られている。一方、糸状菌におけるPKCの役割は未解明な部分が多い。糸状菌Aspergillus nidulansにおいてPKCをコードするpkcAは生育に必須の遺伝子であるがその機能についてはほとんど未解明である。そこで本研究ではpkcAの包括的機能解析を目的として前年度pkcAの高温ストレス時の機能解析を行った。またpkcAの条件変異株を用いてトランスクリプトーム解析を行った。今年度は前年度行ったトランスクリプトーム解析の結果より、pkcAの下流で働くことが予想された細胞壁関連酵素(キチン合成酵素遺伝子8種、α―グルカン合成酵素遺伝子2種、β-グルカン合成酵素遺伝子1種)の制御について関連する転写遺伝子のも含めて検討を行った。その結果、これらの遺伝子の中にはpkcAにより正に制御されるものが大部分であるが、負に制御されるもの、制御を受けないものが存在し、正に制御されるもののなかには酵母Saccharomyces cerevisiaeで関連が示されている転写因子のオルソログに依存して転写が制御されるものと、依存しないものが存在することが明らかとなった。一方、前年度より引き続き行っていたPkcAにより直接リン酸化を受けるタンパク質の同定においていくつかの方法を試みたが安定した結果を得ることができず再現性に問題があると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では、前年度に行ったトランスクリプトーム解析よりPkcAの下流で働くと考えられる遺伝子を多数同定し、そのうちの細胞壁関連酵素遺伝子についてはその制御機構について新たな知見を得ることができたが、PkcAにより直接リン酸化を受けるタンパク質の同定についてその後実験結果の再現性に問題があることが明らかになった。
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今後の研究の推進方策 |
前年度達成できなかったリン酸化タンパク質の同定について方法を変えるなどの対応を検討するとともに、トランスクリプトーム解析により得られた、PkcAがその発現の制御に関与すると考えられる種々の遺伝子の発現制御機構の解析を行う。
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