糸状菌におけるprotein kinase C(PKC)の機能を明らかにするため、糸状菌Aspergillus nidulansを用いてPKCをコードする遺伝子pkcAの機能解析を行った。前年に引き続きpkcAの下流で発現が制御されている細胞壁関連遺伝子群の発現誘導、発現抑制機構について解析を行い、その中に既知の転写因子を介して発現が制御されているものと、介さずに制御されているものが存在することを示した。また、pkcAの失活条件下ではCaのシグナル伝達系が活性化していることを示し、その活性化の機構について解析を行った。その結果、この活性化は細胞壁の完全性の維持においてPkcAの下流で働いていることが知られているmitogen activated protein (MAP) kinaseであるMpkAを介していること、細胞膜へのストレスが原因となっていることを示唆する結果を得た。これらの結果をまとめたものについては現在論文投稿中である。
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