研究課題
OdhBはOdhA, PdhDとヘテロ三量体を形成し、3者とも胞子形成に関与している。大腸菌のオルソログ導入試験により、pdhD オルソログで溶菌の回復が見られたため、エネルギー生産が回復すれば少なくとも溶菌は抑えられる可能性を示唆した。昨年度は3者のそれぞれのオルソログ置換株を作製したところ、レベルは異なるもののすべての場合においてある程度溶菌を抑えることが出来た。しかし胞子形成の回復は見られず、3者の複合体を丸ごと置換した株の構築が必要であると考えられ、今後の課題として残った。一方、PlsXが細胞分裂機構に関与するメカニズムについては、Z-ring形成より上位にあることを示してきたが、PlsXの局在と機能にはDNA複製機構が密接に共役していることを検証した。DnaAに結合して複製開始を阻害するSirAを過剰発現させるとPlsXの分裂予定域への局在も阻害された。また、MinC・MinDは隔壁形成後期のZ-ring収縮・崩壊に関与するため、minCD破壊株では隔壁形成が遅延する。minCD破壊株においてPlsX、FtsAの局在を観察したところ、ともに次の分裂予定域への局在が阻害されており、合成途中の隔壁や細胞極に共局在していた。これらの結果は、隔壁形成が完了するまでPlsXを隔壁合成面に留まらせる機構の存在を支持している。本研究の遂行過程で、メチオニン代謝関連因子がアラーモンppGpp合成/分解酵素RelAに結合し、分解活性を正に制御することで緊縮応答時のppGp/pGppの蓄積量を調節していることも明らかにした。本研究の結果は、バクテリアの細胞周期において脂質代謝酵素の関与を初めて組込むものである。また脂質代謝酵素と緊縮応答制御因子の遺伝的関係性を立証した。これらの結果を統合すると、栄養感知、細胞増殖制御、細胞膜合成、細胞分裂装置の各機能を共役させる一連の流れが見え、栄養状態に応じた細胞膜合成と細胞分裂との間における協調的ネットワークの一端を明らかにした。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2014 2013 その他
すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件) 学会発表 (12件)
Mol Microbiol.
巻: 91 ページ: 242-255
10.1111/mmi.12457.
J Bacteriol.
巻: 196 ページ: 873-881
10.1128/JB.01321-13.
Biosci. Biotechnol. Biochem.
巻: 78 ページ: -
org/10.1080/09168451.2014.915729
J Gen Appl Microbiol.
巻: 59 ページ: 105-107
FEMS Microbiol. Lett.
巻: 344 ページ: 138-144
10.1111/1574-6968.12166
巻: 77 ページ: 2073-2076
Front Microbiol.
巻: 4 ページ: -
10.3389/fmicb.2013.00266.
Microbiology
巻: 159 ページ: 2225-2236
10.1099/mic.0.067025-0.