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2012 年度 実績報告書

RsgA/RbfAが関わるリボソームの新しい機能

研究課題

研究課題/領域番号 23380054
研究機関弘前大学

研究代表者

姫野 俵太  弘前大学, 農学生命科学部, 教授 (80208785)

研究分担者 武藤 あきら  弘前大学, 農学生命科学部, 研究員 (80034635)
研究期間 (年度) 2011-04-01 – 2014-03-31
キーワードRsgA / YjeQ / RbfA / リボソーム / GTPase / 浸透圧ストレス
研究概要

本研究は、リボソームの生合成(成熟)の過程におけるRsgA(リボソーム小サブユニットによって活性化されるGTP加水分解酵素)とRbfA(リボソーム小サブユニット結合タンパク質)に焦点をあて、両者の関係を明らかにすることを通して、巨大機能分子複合体リボソームの分子構築の原理」という難題の解明に新たな視点から手がかりを与えようとすることを目的とするものであり、また「リボソーム成熟という分子機能とストレス応答という生理機能との接点」という新たな視点から未知の細胞機能を探ることを目的とするものである。 本研究では、昨年度までに「RsgAが生合成の最終段階でリボソーム小サブユニットからRbfAを追い出す」という機能があることを明らかにしてきた。本年度は、もう1種類のリボソーム成熟因子と考えられるRimMとの関わりについて研究を行った。RimM欠損株はRsgA欠損株と同様に16S rRNAの前駆体と考えられる17S RNAを蓄積していた。また、RimM欠損株における30Sサブユニット前駆体はRsgA欠損株における30Sサブユニット前駆体よりも、リボソームタンパク質の種類が少なかった。以上より、30Sサブユニット成熟過程において、RimMはRsgAよりも前の段階で働くことが示唆された。クライオ電子顕微鏡を用いた解析により、RsgAおよびRbfAは30Sサブユニットのbodyに結合するのに対して、RimMはheadに結合することを明らかにした。 一方、すでに我々はRsgA欠損株およびRbfA欠損株を含むリボソーム生合成関連因子の欠損株が塩耐性(浸透圧耐性)を示すことを明らかにしてきたが、塩耐性はリボソームタンパク質の欠損によってももたらされることを明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

リボソームは50を超えるコンポーネントからなる巨大な複合体である。その生合成はrRNAの転写・切断・修飾とリボソームタンパク質の集合が協調した複雑な過程をたどる。細菌リボソームの成熟には数十種類の因子が関与すると考えられているものの、個々の因子の具体的な役割はほとんど明らかにされていない。
本年度の研究により、リボソームの成熟過程において、RsgAおよびRbfAの働きをもとにしてもう一種類の因子の働きを明らかにすることができた。
また、「リボソーム生合成の異常は細胞の塩耐性(浸透圧耐性)をもたらす」という命題を、より一般的な形で示すことができた。

今後の研究の推進方策

1.リボソーム小サブユニット上におけるRsgA のGTP加水分解活性の活性化の分子メカニズムを明らかにする。
2.RsgAの欠損による塩耐性(浸透圧耐性)のメカニズムを明らかにする。

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (6件) 図書 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Dissecting the in vivo assembly of the 30S ribosomal subunit reveals the role of RimM and general features of the assembly process.2013

    • 著者名/発表者名
      Guo, Q., Goto, S., Chen, Y., Feng, B., Xu, Y., Muto, A., Himeno, H., Deng, H., Lei, J., Gao, N.
    • 雑誌名

      Nucleic Acids Res.

      巻: Vol.41 ページ: 2609-2620

    • DOI

      10.1093/nar/gks1256

    • 査読あり
  • [雑誌論文] GTPases involved in bacterial ribosome maturation.2013

    • 著者名/発表者名
      Goto, S., Muto, A., Himeno, H.
    • 雑誌名

      J. Biochem.

      巻: Vol.153 ページ: 403-414

    • DOI

      10.1093/jb/mvt022

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 2つの機能を有するtmRNAによる細菌の翻訳解消システム2013

    • 著者名/発表者名
      姫野俵太
    • 雑誌名

      実験医学

      巻: 31 ページ: 未定

  • [雑誌論文] In vitro trans-translation assay.2012

    • 著者名/発表者名
      Kurita, D., Muto, A., Himeno, H.
    • 雑誌名

      Methods in Molecular Biology

      巻: Vol.905 ページ: 311-325

    • DOI

      10.1007/978-1-61779-949-5_20

    • 査読あり
  • [学会発表] リボソームを介した浸透圧耐性機構2013

    • 著者名/発表者名
      樽澤武房、長谷要一、後藤史門、武藤あきら、姫野俵太
    • 学会等名
      第2回リボソームミーティング
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      20130328-29
  • [学会発表] tmRNA/SmpBによる停滞したリボソームの認識機構2013

    • 著者名/発表者名
      栗田大輔、Mickey Miller、武藤あきら、Allen Buskirk、姫野俵太
    • 学会等名
      第2回リボソームミーティング
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      20130328-29
  • [学会発表] 細菌リボソーム30Sサブユニットの生合成に関与する因子群の機能2013

    • 著者名/発表者名
      後藤史門
    • 学会等名
      第2回リボソームミーティング
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      20130328-20130329
  • [学会発表] Interplay of a GTPase and a ribosome-binding factor on the 30S subunit during a late stage of the bacterial ribosome biosynthesis2012

    • 著者名/発表者名
      Goto, S.
    • 学会等名
      The 9th International Conference on Ribosome Synthesis
    • 発表場所
      Banff
    • 年月日
      20120822-20120826
  • [学会発表] The first translocation in trans-translation2012

    • 著者名/発表者名
      Takada, K.
    • 学会等名
      第14回日本RNA学会年会
    • 発表場所
      仙台
    • 年月日
      20120718-20120720
  • [学会発表] 線虫SL1トランス-スプライシングは生殖細胞でより活発?2012

    • 著者名/発表者名
      加藤新
    • 学会等名
      第14回日本RNA学会年会
    • 発表場所
      仙台
    • 年月日
      20120718-20120720
  • [図書] 弘前大学知の散歩道2013

    • 著者名/発表者名
      姫野俵太
    • 総ページ数
      9
    • 出版者
      弘前大学出版会
  • [備考] 弘前大学農学生命科学部分子生命科学科分子生物学研究室

    • URL

      http://hirosaki-rna.org/

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公開日: 2014-07-24  

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