研究課題/領域番号 |
23380056
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
牧 正敏 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (40183610)
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キーワード | ALG-2 / 結合モチーフ / エクソソーム / 結晶構造 / カルシウム結合タンパク質 / 細胞質顆粒 / タンパク質間相互作用 / RNA結合タンパク質 |
研究概要 |
(1)ALG-2の相互作用因子であるPLSCR3が細胞外に分泌される仕組みについて解析した結果、エクソソームと称される膜小胞に含まれた状態で分泌されることが判明した。ALG-2結合部位の変異体でも分泌され、分泌に対してALG-2は直接には関与していないと思われる。一方、パルミトイル化阻害剤添加によっても分泌は抑制されたが、PLSCR3のパルミトイル化部位のCysをAlaにアミノ酸置換した変異体は分泌が顕著に減少したことより、PLSCR3の脂質修飾が細胞外分泌に影響を及ぼすことも判明した。 (2)ALG-2結合モチーフには少なくとも2種類あり、I型については結晶構造により既に分子認識機構を解明していた。しかし、II型についてPLSCR3由来ペプチドとの共結晶化は不成功であったが、結合部位のシミュレーションおよび変異体解析より、結合部位を推定した。また、Sec31A由来ペプチドとの共結晶化に成功し、構造の一端を解明することができ、I型とは異なる部位に結合することが判明した。今後は詳細な変異体解析が必要である。 (3)ALG-2と相互作用する新規タンパク質としてPATL1を同定した。PATL1は細胞質においてmRNAの分解、翻訳抑制を行うことが知られており、P-bodyという非膜性の構造物を形成するが、それぞれの特異抗体を調製することにより、ALG-2も一部が細胞質顆粒P-bodyに斑点状に存在することを蛍光顕微鏡観察による細胞内局在解析により明らかにした。 (4)ALG-2と相互作用する新規タンパク質として候補としてCHERPを見出したが、真の相互作用因子かどうか、また、生理機能について詳細な解析が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
構造生物学的研究においては、年度内にALG-2とSec31Aペプチド複合体の結晶構造を完全解明する予定であった。当初、共結晶が得られなかったが、タンパク質の精製条件ならびにペプチドの残基数を変えることにより結晶化に成功した。データ取得が遅れたため、構造の精密化が遅れ、さらに変異体解析などに遅れが生じているが、共結晶が得られたことは非常に大きな成果である。新規相互作用タンパク質探索についてはおおむね順調に進展しており、PATL1に関して論文発表を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
ALG-2の新規相互作用因子候補が他にも見つかり、真の相互作用因子であることの証明ならびに、結合モチーフの同定、細胞内局在や生理機能解析を行う必要がある。生理機能解析以外は従前の方法により遂行可能であるが、機能に関しては個々のタンパク質に関するこれまでの情報をもとに推測を行うとともに、過剰発現、発現抑制に伴う細胞形態、接着性、増殖などを指標に解析する必要がある。特に新規相互作用候補であるCHERPは小胞体ERに存在するタンパク質として報告されたタンパク質であるが、抗体を作製して蛍光抗体顕微鏡観察を行ったところ、核内の局在が観察され、新しい機能が示唆された。また、従来、核内にもALG-2が存在することは分かっていたが、どのような機能があるのか不明であった。CHERPの機能解析と併せて新しい展開が期待される。ALG-2とSec31Aペプチド複合体の結晶構造に関して、さらに変異体の解析を進め、裏付けを得る必要があるとともに、II型モチーフの特性を調べる。
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