(1)ALG-2結合モチーフには少なくとも2種類あり、I型については結晶構造により既に分子認識機構を解明していた。II型についてSec31A由来ペプチドとの共結晶化に成功し、I型とは異なる部位に結合することが判明した。また、変異体解析によりALG-2のどの残基が結合に重要であるかを明らかにした。さらに、8残基結合配列の系統的なアミノ酸置換体との定量的結合解析を行い、モチーフの精査を行った。精密化したモチーフを用いて新規相互作用因子を探索する方法の有効性について今後調査する価値が出てきた(2)ALG-2と相互作用する新規タンパク質のCHERPは恒常的にリン酸化されており、Ser/Argに富むSRタンパク質ファミリーに属すことを明らかにした。ALG-2の細胞内局在は、細胞質ではSec31Aと結合するため、初期分泌経路である小胞体(ER)からゴルジ体輸送に関わっているCOPII小胞が出芽するER exit siteに斑点状に観察されるが、核内では核質に均一に観察される。生細胞蛍光イメージング解析をしたところ、核内のCa2+を上昇させたとき、ALG-2は核内にスペックル状に濃縮されること、CHERPやSF3A2と共局在することが判明した。SC35やSF3A2はスプライシングに関与する因子であるため、CHERPおよびALG-2のスプライシング制御への影響が想定された。そこで、小胞体膜に存在するカルシウムイオンチャネルであるイノシトール3リン酸受容体のひとつIP3R1のpre-mRNAは選択的にスプライシングされることが報告されていたため、CHERPおよびALG-2の発現をRNA干渉により抑制効果を調べた。その結果、発現抑制によりエクソンが挿入されるバリアントが出現した。さらに、CHERPは転写活性状態のRNA polymerase複合体に相互作用していることも明らかとなった。(3)新規ALG-2相互作用因子としてESCRTシステムで機能するIST1とVPS37を見出した。
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