研究課題
油脂合成系の最終段階をモニターする DGAT1p::LUC 植物種子をEMS変異源処理して得られた植物から、全自動LUC連続発光モニタリング装置を使ったスクリーニングで、LUC発光の有意な低下が次世代でも見られる変異株候補が多数得られていた。それらの中で、10-2D12 と1-9B7は次世代でも種子登熟期のLUC発光のみならず種子油脂含量の低下も認められた。この2つのラインについて低LUC発光個体集団のゲノムDNAを高速シーケンサーにかけ、研究協力者の鈴木孝征博士が作成・改良した解析ソフト MITSUKALで解析した。しかし、ノイズが高く原因遺伝子候補の絞り込みに至らず、マッピングによる原因遺伝子の推定作業を継続しており、10-2D12についてはAT2G45380 近傍に原因遺伝子が位置することが分かっている。油脂貯蔵のためのオレオシン遺伝子の発現をモニターするOleS3p::LUC 導入株種子をEMS処理して得られた植物から、種子発芽後のOleS3p::LUCの抑制が弱く発現が持続する変異株の大量スクリーニングを行い、約12万株の植物から発芽後のLUC発光経時変化に異常を示す約50株を選抜した。芽ばえでのLUC発光が野性型よりも長く持続する株には、生育の遅延を示して稔性の低下したものが多く、種子成熟遺伝子の発芽後の発現抑制が栄養成長への転換とリンクしていることを示唆している。その中のOL8#42-167株は、次世代でも発芽後のLUC発光が長く継続するだけでなく、内在OleS3 mRNAのレベルも高い劣性の変異であることが確認された。OL8#42-167株のゲノムDNAの高速シーケンサーとMITSUKALによる解析から、一塩基置換によってミススプライシングが起こっている遺伝子を原因遺伝子と推定してDROL1と名付けた。OL8#42-167株に野性型DROL1を導入すると変異は相補され、DROL1へのT-DNA挿入破壊株はOL8#42-167株と類似した表現型を示した。DROL1遺伝子は機能未知のタンパク質をコードしており、その機能解明が次の課題である。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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