研究課題/領域番号 |
23380061
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
米山 弘一 宇都宮大学, 雑草科学研究センター, 教授 (00114174)
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研究分担者 |
野村 崇人 宇都宮大学, 雑草科学研究センター, 准教授 (60373346)
謝 肖男 宇都宮大学, 雑草科学研究センター, 助教 (30610323)
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キーワード | 自他認識 / 血縁認識 / ストリゴラクトン / 根圏シグナル / 植物ホルモン |
研究概要 |
本年度は「自他認識」および「血縁認識」の解析法について予備的な検討を行った。具体的にはイネおよびシロイヌナズナのストリゴラクトン(SL)生合成およびシグナル伝達変異体を一定期間水耕し、同じ遺伝子型あるいは異なる遺伝子型の水耕液に移した時の生育を調査した。しかしながら水耕液が少量であるため、水耕液に含まれる栄養成分によって、生育が大きく影響されうるものと考えられた。したがって、水耕液を酢酸エチル抽出し、その抽出物および水性残渣の影響を調べることとした。 シロイヌナズナについては、アブラナ科植物を宿主とする根寄生植物Phelipanche ramosa種子に対する発芽刺激活性を指標としてSL分泌量、内生量の量的・質的変化を判定する予定であった。しかし、シロイヌナズナの根浸出物および根に含まれるP. ramosa発芽刺激物質を精査した結果、主要な発芽刺激物質はSLではなく、イソチオシアン酸エステル類(ITC,シロイヌナズナの主要なITCは4-methylthiobutylisothiocyanate)であることが明らかとなった。また、ITCはP. ramosaとは近縁の根寄生植物であるP. aegyptiacaの発芽も誘導するが、ヤセウツボ(Orobanche minor)種子の発芽刺激活性は示さなかった。なお、量的には少ないが、シロイヌナズナはSLも生産していることを確認した。すなわち、シロイヌナズナのSL分泌量の変化はPhelipanche ramosa種子に対する発芽刺激活性では調べられないことが分かった。なお、ペチュニアおよびシロイヌナズナにおけるSLの分泌にはABC transporterが関与していることが報告されたが、シロイヌナズナを用いた実験については疑問があるので、エンドウの変異体を使って検証する予定である。 TrichodermaはSLを急速に代謝することが明らかとなった。今後は代謝経路の解明を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
シロイヌナズナなどのアブラナ科植物の主要な根寄生植物発芽刺激物質がITCであることを明らかにした。植物ホルモンの分析は内部標準物質を準備し、分析条件も整えたので、すぐに取りかかることができる。今後、根の相互作用検定法が確立されれば本研究は飛躍的に進展するものと期待される。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、植物の根圏における植物-植物および植物-微生物間の相互作用を、前者では根における「自他認識」、「血縁認識」を、後者では微生物農薬として期待されているTrichodermaとの相互作用について、植物由来のシグナル物質の関与を明らかにする。前者では、根から放出されるシグナル物質の同定・定量と、後者ではそれらのシグナル物質の影響および微生物による変換を精査する。前者では、根の相互作用を明確に把握し定性・定量するための検定法の確立が最も重要であり、今後も各種の可能性を含めて広範に検討する予定である。後者については方向性が定まっており、現在の研究を深化、発展させることで十分な成果が得られると考えている。
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