研究課題/領域番号 |
23380061
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
米山 弘一 宇都宮大学, 雑草科学研究センター, 教授 (00114174)
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研究分担者 |
謝 肖男 宇都宮大学, 雑草科学研究センター, 助教 (30610323)
野村 崇人 宇都宮大学, 雑草科学研究センター, 准教授 (60373346)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 自他認識 / 血縁認識 / ストリゴラクトン / 根圏シグナル / 植物ホルモン |
研究概要 |
前年度の結果に基づいて、Trichodermaによるストリゴラクトン(SL)代謝物を予備的に分析した結果、エノールエーテル部位で加水分解されて生成するABC環アルデヒドが検出された。すなわち、それほど特異的な代謝経路ではないと考えられたので、それ以上の解析は行わなかった。 シロイヌナズナではABC transporter阻害剤のsodium orthovanadate (Na3VO4)処理によって「自他認識」は影響されないが「血縁認識」は低下するとされているが、イネ、エンドウでは明確な反応は認められなかった。今後はverapamil など他のタイプのABC transporter阻害剤を用いた検討を予定している。 シロイヌナズナの培養細胞を用いたSL生合成研究の過程で、培養細胞では、培地中のアンモニア態窒素がSL生合成に重要であることが明らかとなった。そこで、アンモニア態窒素を抜いたMurashige-Skoog培地上でシロイヌナズナ(野生型)を生育させると、予想されたようにSL生合成酵素の遺伝子発現が極端に低下し、根が束状になった。SL生合成遺伝子の発現が低下していることからSL生合成欠損変異体が同じような根の形態を示すかどうか調べたが、通常の培地上で生育させると根は束状にはならなかった。しかし、SL生合成欠損変異体max1をアンモニア態窒素を抜いたMS培地上で生育させると地上部はより激しい枝分かれを示し、根は束状になった。すなわち、SL生合成が低下すると根が束状になること、さらに、SL生合成には少なくとも2つのルートがあり、一方は現在提唱されているベータカロテンからカーラクトンを経由して生合成されるルートであり、他方はこれらとは異なったルートであるが、その生合成ルートが動くためには、アンモニア態窒素が必須であるものと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画に従って実験を行い、一定の成果が得られている。特に、これまで殆ど情報が得られなかった根における植物間の相互作用に関してシロイヌナズナを用いた実験から、全く新しい知見が得られた。今後、他の植物種で同様な現象が確認できるかどうかを検討し、研究計画の完遂を目指す。
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今後の研究の推進方策 |
シロイヌナズナを用いた実験から全く新しい知見が得られたので、今後、イネ、エンドウなどで同じような現象が観察されるかどうかを調査する。また、新しいタイプのABC transporter阻害剤を用いた実験も行う予定である。
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