研究課題
昨年度の研究から、シロイヌナズナの培養細胞では、培地中のアンモニア態窒素がストリゴラクトン(SL)生合成に重要であることが明らかとなった。実際に、アンモニア態窒素を抜いたMurashige-Skoog培地上でシロイヌナズナ(野生型)を生育させると、SL生合成酵素の遺伝子発現が顕著に低下し、根が束状になった。SL生合成欠損変異体を通常の培地上で生育させると根は束状にはならなかったが、SL生合成欠損変異体max1をアンモニア態窒素を抜いたMS培地上で生育させると地上部はより激しい枝分かれを示し、根は束状になった。すなわち、SL生合成が低下すると根が束状になることから、少なくともシロイヌナズでは、根から分泌されるSLあるいはSL関連化合物を検知することによって、自身そして恐らく他の個体の根を認識している可能性が示唆された。シロイヌナズナ以外の植物種で類似の現象を再現するためには、栽培条件などのより詳細な絞り込みが必要であると考えられたが、SLが自他および血縁認識に関与している可能性が示唆されたことは大きな収穫であった。なお本研究では、シロイヌナズナの根から放出されているSLあるいはSL関連化合物を同定できなかったので、活性本体の同定が今後の重要な課題である。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Phytochemistry
巻: xxx ページ: xxx-xxx
10.1016/j.phytochem.2014.03.030
Planta
巻: 238 ページ: 885-894
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